老親の見守り、サービス多彩 健康状態や費用で検討

2021年11月14日日経新聞


離れて単身で暮らす高齢の親がいる子にとって、親の健康状態など心配の種は多い。元気に暮らしているのか、万が一のときに備えるにはどうすればよいのか。そうした不安を解消するため、高齢者の見守りサービスの利用を検討する人も増えているようだ。

万が一に備え

東京都に住む会社員の男性(56)は2021年春、母親(83)が単身で暮らす宮城県の実家にセコムのセキュリティーシステムを設置した。高齢者向けの機能が追加された「親の見守りプラン」だ。「いまは元気で独り暮らしにも問題は無さそうだが、もしもの場合に備えておく必要があると考えた」と話す。

「見守りプラン」では家の中の生活動線の上にセンサーを設置し、一定の時間がたっても動きがないと異常信号をセコムに送信する。急病になったりケガをしたりしたときは握るだけで救急信号を送れる通報ボタンも用意している。万が一の際は警備員が駆けつける。費用は機器を買い取るかレンタルするかで変わる。レンタルの場合は初期費用として工事料4万8400円と契約終了時に返却される保証金2万円が必要だ。このほか月額4840円がかかる。

セコムのような「緊急通報・駆けつけタイプ」のサービスは緊急時も素早く対応できるメリットが大きいが、その分、費用が高めになる。「今は親も元気だし、そこまで大がかりでなくても」と考える人向けに、センサーの設置のみで親の生活リズムなどをスマホで確認できる安価なサービスも次々と登場している。

センサー、リアルタイムで確認

日立グローバルライフソリューションズ(東京・港)が提供する「ドシテル」は、部屋に設置したセンサーが親の活動状況を検知する。離れて暮らす子がスマホアプリを通じて、在室しているか、活動量はどれくらいかなどをリアルタイムで確認できる。不在や静止状態が一定時間続いて異変の可能性があると判断されれば自動的に子のスマホへ通知が飛ぶ。

1日を通してどの時間帯に活動しているか、生活リズムを確認することも可能だ。同社が21年8月、「子と離れて単身で暮らす70歳以上の親」と「離れて単身で暮らす70歳以上の親を持つ子」を対象に調査したところ「夜中に目が覚める」などの親の生活リズムを把握している子は3.6%にすぎなかったという。

老親の介護に詳しいNPO法人パオッコの太田差恵子理事長は「見守りサービスで親の生活リズムの変化を把握できれば、異変を早期に察知し、早めに必要な医療や介護サービスにつなげることができる」とメリットを説明する。

ポットや冷蔵庫を利用するタイプも

実家にネット回線がなかったり、専用センサーの設置工事の手間を省きたかったりするなら、家電を利用するタイプが選択肢になる。電気ポットの使用状況や冷蔵庫のドアの開閉で生活リズムを把握できるサービスがある。

例えば象印マホービンの「みまもりほっとライン」は電気ポットの電源オンとオフ、給湯ボタンの使用などの情報を1日2回、メールで送信する。ポットからシステムセンターへの情報送信は携帯電話事業者の回線を使うため、ネット回線や工事は不要だ。こちらも契約者専用のサイトを使ってポットの使用状況をグラフで確認し、生活リズムを知ることができる。

センサー型や家電利用型以外に、スタッフが電話や家庭訪問で安否を確認し、健康状態などを聞き取るサービスもある。

日本郵便の「みまもり訪問サービス」は、地元の郵便局員などが毎月1回30分程度、高齢者の自宅を訪問して生活状況などを確認し、その結果を自治体や家族にメールで連絡する。

訪問時の質問は「食事は規則的にとっていますか」「よく眠れていますか」など基本7項目のほかに、「飲酒頻度はどの程度ですか」「ペットは元気ですか」など23項目の中から3つを追加で契約者が選べる。月に1回の訪問なので緊急時の対応はできないが、孤立しがちな単身高齢者の話し相手になってもらえるという利点もある。万が一の際に備える必要があるなら、センサーを使ったサービスと併用するのも一つの手だろう。

見守りサービスは様々だが、どう選んだらいいだろうか。一案は親の健康状態にあわせて、利用するサービスを変えていくことだ。介護・福祉ライターの浅井郁子氏は「活動的に暮らしている間は、気軽に使える安価なサービスで親の生活リズムを把握し、健康に不安が出てくれば駆けつけ型に切り替えることを検討してもいい」と助言している。