過疎高齢化、基幹産業の衰退、後継者不足…琵琶湖に浮かぶ有人島「沖島」から、この国の政治を考えたい
2021年10月27日京都新聞
琵琶湖に浮かぶ唯一の有人島・沖島(滋賀県近江八幡市沖島町)。全住民約260人のうち、65歳以上の高齢者が6割を占める。基幹産業である漁業の後継者不足に加え、過疎高齢化も進む島の課題は多い。
島のデイサービスで働く女性(52)。「高齢化は本当に深刻。親戚同士や近所で助け合っても、みんな高齢なので限界がある。AIを活用した安否確認といった見守りや買い物支援などのシステム構築に期待したい。若い世代でも、自分の老後は島がどうなるかと不安な人も多いだろう」
沖島漁業協同組合によると、新型コロナウイルスの感染拡大で湖魚の売値は通常時と比べて最大で半分にまで落ちた。漁師の男性(86)も「あかん。低い」と下落を嘆く。「飲食店が時短営業になると、湖魚の需要が落ちる。飲食店には補償があっても1次産業には関係ない」
僧侶の男性(73)は「空き家の増加や少子化、次世代の人が漁業を継がず、地場産業の衰退が深刻。きちっとした経済政策でコロナ以前にまで(景気を)戻してほしい」。
70代の男性漁師は「投票は習慣のような気持ちで毎回行くが、暮らしがよくなる期待は特にない。最近は政党の再編や新党が出て選択肢は増えたが、誰を信頼していいのか分からなくなってきた」と漏らした。