ふるさと納税で高齢者見守り 川崎市「返礼品競争乗らない」

2021年10月21日神奈川新聞


 川崎市がふるさと納税の返礼品として、1人暮らし高齢者などの「くらし見守りサービス」を提供している。名産品など一般的な返礼品のイメージと違うこともあり申し込みはまだ少ないが、このほど地域の高齢者を支える「地域包括支援センター」の仲介で利用があった。市は「ふるさと納税は寄付金の使い道も指定できるので、こうした福祉への活用も考えてもらえれば」と呼び掛けている。

 同サービスは東京ガスが運営しているもので、冷蔵庫や家の中のドアなどにセンサーを設置し、高齢者が普段通りに暮らしていることが離れた家族などに分かる仕組み。7万円の寄付で1年間のサービスが受けられる。全国で最初の「地域課題解決型返礼品」として2019年暮れから川崎市の返礼品となったが、認知度が上がらず、市が委託する高齢者の公的相談窓口「地域包括支援センター」が協力し、周知していた。

 今回利用したのは、川崎区で高齢の父が1人暮らししている町田市の男性。同センターの紹介でこの返礼品を知り、男性は「父は自分からは危険信号を発しない性格で、このサービスには助かっている」と話す。

 紹介した同センターの担当者によると、川崎区の独居老人はオートロックのマンションなどに暮らしていることが多く、地域とのつながりが見えにくい都市部ならではの特徴を持つ。看護師でもある担当者は「認知症などは症状が重くなる前に対処するのが望ましい。こうした新しい見守りサービスは初期段階の変化に気づけるのでは」と期待する。