「何よりの私の生きがい」テレビ画面で孫に毎日"会える” コロナ禍で帰省出来ない中、人気のサービス
2021年10月05日FNNプライムオンライン
緊急事態宣言が解除されて帰省しづらい状況は解消されつつあるが、第6波の回避に向け慎重な行動はこれからも必要だろう。
こうしたなか、離れた場所に住む祖父母と孫が、それぞれの自宅にいながら交流を楽しめるサービスが静岡県でも注目を集めている。
コロナ禍で帰省できずに寂しい思いも
新型コロナウイルスの感染拡大は周期的に繰り返し、県をまたぐ移動の自粛を求められる生活が続いた。
男性(妻の実家が岐阜県):
妻の実家にはコロナになってから行ってない。こういう状況でなかったら、孫に会わせて成長を見せてあげたいとは思うんですけど。
女性(孫が岐阜県に):
孫が1人いるんですけど会えてない。小さいうちは成長が早いですから、もうだいぶ大きくなっていると思う。
帰省を自粛する生活が続いた頃は、「遠くで暮らす孫の成長を見たい」、「祖父母に見せてあげたい」という声が多く聞かれた。
「まごチャンネル」が悩みを解消
熱海市で一人暮らしをしている川口茂代さん(81)。川口さんが見ていたテレビ画面には、都内に住むひ孫の様子が映し出されていた。
(テレビ画面)
川口さんのひ孫:
おばあちゃん、お菓子ありがとう。
川口茂代さん:
この頃、なんとか平仮名の拾い読みができるようになって。
まごチャンネル・通称「まごチャン」と呼ばれるこのサービス。スマートフォンで撮影した映像を専用の端末を設置したテレビに送ることができる。
2020年12月、孫が誕生日プレゼントとして祖母の川口さんに贈った。
川口さんの孫(都内在住):
最後の帰省は2020年の正月。いつもお盆や正月は帰省していますが、コロナが始まってしまって、おばあちゃんと1年近く会えていなかった。
実家はとてもインターネットが届くような環境ではなくてテレビ電話も使えないですし、年配なのでタブレットは使えない。テレビが一番わかりやすいかなと。
「家族をつなぐ、おくりもの」ヒットのワケは…
「家族をつなぐ、おくりもの」をコンセプトに、「まごチャンネル」を手掛けてきたチカク(東京都)の梶原健司社長。コロナ禍を背景に全国の利用者は、2019年から2020年にかけて3倍に増えたという。このサービスのメリットについて伺った。
チカク・梶原健司社長:
(サービスのメリットは)基本的には3つです。
ひとつは設置の簡単さ。電源ケーブルとテレビをつなぐケーブルの2本をさせばすぐ使える。スマーフォンと同じSIMカードが入っているので、端末自体が自動的にネットに接続してくれる。
二番目はテレビリモコンで操作ができるので、操作が簡単。
三番目が(祖父母が)動画を見ると、『見始めましたよ』という通知がお子さん側のアプリに届くので見守りにもなる。
利用を始めてから1年半、川口さんは「まごチャンネル」を通じて、ほぼ毎日ひ孫の成長を見守ってきた。
川口茂代さん:
いまは毎日見ているから、明日はどんな格好して見せてくれるかなって、毎日それを楽しみにしている。何よりの私の生きがいですね。
川口さんの孫(都内在住):
小さい時の1~2年は成長率がすごく大きいので。笑っている顔だけじゃなくて、泣いてたり怒っていたり、いろんなところを悪い面も含め伝えられればいいな。
大学生がお年寄りと短歌で交流
コロナで子供や孫が帰省できないのなら、地元にすむ若者がお年寄りと交流を深め励まそうという試みもある。
静岡大学の学生:
地域の高齢者の方々との交流を目的に、短歌を作って交流しようと考えています。
静岡大学の学生が進めるこの取り組み。学生とお年寄りが、メールや手紙・ファックス・対面と好きな方法でやり取りをして、一緒に短歌を作る計画だ。
参加者を募集中だが、すでに100件近い応募が寄せられているという。
静岡大学の学生:
会話をしたり、交流したり思い出話をする中で、ちょっとでも笑顔で過ごせて行けたらなと思う。
コロナ禍で人と人との接触を控える経験をして、人とのつながりを深める新たなサービスや取り組みが注目されている。
★参考
「まごチャンネル」では警備会社と共同で気温・湿度・起床時間・就寝時間を把握できるサービスを新たに始めている他、自治体と協力して防災や健康に関する情報の提供も試験的に行っている。料金(消費税含む)は本体価格が一式1万9800円、通信料など月額利用料は1628円。