IoTで高齢者見守り 塩釜市、初期費用助成 利用者がサービス選択

2021年09月25日河北新報


 宮城県塩釜市は10月、IoT(モノのインターネット)機器を活用した民間の見守りサービスを利用する1人暮らしの高齢者らを対象に、初期費用などを助成する新制度「高齢者あんしん見守り支援事業」の運用を開始する。利用者が自分の生活状況に合ったサービスを選べるのが特徴で、同様の助成制度を市町村が設けるのは県内初という。

 想定するのは、冷蔵庫に振動を感知するセンサーを取り付けるなどし、無反応になると離れて暮らす家族や友人らにメールで通知するサービス。見守りの必要度に応じて、民間業者の訪問が加わったり24時間体制になったりと3段階あるサービスの中から選択する。

 助成対象は市内在住で65歳以上の独居高齢者と、身体障害者手帳1・2級の所持者。10月1日から市長寿社会課で申請を受け付ける。利用者が市に登録した事業者と契約する。

 対象経費は見守り機器の設置などにかかる初期費用(上限1万5000円)。初期費用の負担がない場合は月額利用料の1カ月分(上限1500円)となる。助成が受けられるのは1人につき1回まで。

 市はこれまで、病気などで日常生活に不安がある高齢者に緊急通報機器を貸与して見守るシステムを導入しており、10月以降も継続する。

 市が昨年9月に市内の1人暮らしの75歳以上に実施した調査で、約45%が月に1、2回以下しか外出していないことが判明。市は新型コロナウイルスの影響で外出を控える人が増えていると分析、IoTを使った見守りの必要性を検討してきた。

 市内に1人で暮らす65歳以上の人は約4000人。長寿社会課の担当者は「1人暮らしの高齢者が増える中、家庭環境や生活実態に合ったサービスを選べるようにした。日常生活の不安を軽減して安全安心を確保するため、見守りを支援していく」と話した。