IoT活用し高齢者見守り 県、永江団地で試験運用
2021年09月18日日本海新聞
鳥取県は、県営住宅入居者の高齢化や孤独死の防止が課題となっていることを受け、今月から県内最大級の県営住宅永江団地(米子市)で「モノのインターネット(IoT)」を活用した高齢者の見守り・緊急通報サービスの試験運用を開始した。室内に置いた端末などで異変を察知し、見守り事業者に通報する仕組み。県は来年9月まで運用し、本格運用につなげたい考え。
県内の県営住宅では、65歳以上の単身高齢者世帯が27・7%と高齢化が進展。民生委員が希望者の見守りを続けているが、急な体調の異変に対応することが難しい現実があった。
このサービスは、システム開発のエッグ(同市)が県の委託を受けて開発。入居者が着用した腕時計型のウエアラブル端末で脈拍数が1分当たり60回以下だったり、室内に設置した端末の人感センサーが12時間以上動作を確認しなかったりすると、県が委託する見守り事業者にメールが届いて安否確認する。
県住まいまちづくり課によると、同団地では16日現在、11世帯がサービスを活用。30世帯を目標に今後も呼び掛けを続けるという。
緊急のメールは、同団地の高齢者の生活支援や周辺地区の活性化を目的に県が協定を結ぶ社会福祉法人こうほうえん(同市)が受信。まずは電話で安否確認し、応答がなければ直接出向く。場合によっては警察の立ち会いの下、希望者から預かった鍵で家の中に入ることもできるという。
サービスを活用している山本澄子さん(70)は、過去に救急車で運ばれた経験があるとして「急に倒れたりすると電話もできないので、安心できる」と話した。