浴室での異変を察知する「電波式見守りシステム」、カメラを使わずプライバシーに配慮

2021年09月8日TECHABLE


SMK株式会社は、資本業務提携先のEchoCare Technologies Ltd.(以下、エコケア社)が開発した「電波式見守りシステム」の量産試作品を、2021年10月より販売開始します。

「電波式見守りシステム」は、位置、姿勢、転倒、浴槽での溺水や呼吸状態を自動的に検出。洗い場で転倒状態が20秒以上続いたり、浴槽で水没状態が60~120秒以上続いたり、と異常が発生したと思われる時点でアラートを発報します。

消費者庁が2020年11月に出したニュースリリースによると、令和元年の家および居住施設の浴槽における死亡者数は4,900人。平成20年の3,384人と比較すると、約10年間で約1.5倍に増加したとのこと。

浴室には、ヒートショック、熱中症、転倒など事故につながる様々なリスクが潜んでいる一方で、環境の特性上プライバシーへの配慮が必要なため、カメラを使ったシステムは使用できません。

それでは代わりに、と電波センサーを使用したシステムを用いる場合、浴室特有の環境(鉄板に囲まれた狭い室内、シャワーや水面のゆれなど)に大きな影響を受けるため、高い精度の検知を行うことが技術的に非常に難しいといいます。

このような課題を解決するべく、SMKとエコケア社は「電波式見守りシステム」の製造・販売にあたり、実証実験を繰り返し実施。中部電力社や集合住宅管理を行う日本総合住生活社、ユニットバスメーカー、高齢者施設運営会社など、サービスに関連しうる様々な業種の企業より協力を得ました。

結果として、様々な浴室のサイズ、シャワー、水面の揺れの影響などをノイズとして学習させることで、浴室内での位置、姿勢、転倒や水没などの検知率を90%(SMK社実験環境での精度結果)まで高めることに成功したといいます。

試作品リリース後は、一般住宅や高齢者施設、病院などでさらなる実証実験を進め、2022年春からの量産開始を目指します。