SMK、浴室内の転倒など検知 カメラ使わず センサーで高齢者見守り
2021年08月25日日経新聞
電子部品メーカーのSMKは10月から、浴室での事故を検知できる高齢者の見守りシステムを販売する。センサーを使って動きを検知し、転倒した場合などに警告を出す。プライバシーに配慮しながら早めの救助につなげることができ、警備会社などの需要を見込む。まず試作品を販売し、2022年4月から量産を目指す。
SMKが開発した新たなシステムは浴室の天井にセンサーのついた機器を設置する。センサーから電波を出し、反射してくる電波を分析して人の位置や姿勢、呼吸などを監視する。転倒したり溺れたりした場合を検知し、導入先の警備会社などに警告を出すことができる。
高齢者らの入浴中の死亡事故は多発している。ただプライバシーの観点からカメラなどでの見守りはできない。SMKはイスラエル新興企業のエコケア・テクノロジーズと連携し、電波を活用したシステムを開発。シャワーや浴槽の水面の揺れによるセンサーへの影響を抑え、転倒や溺水の検知率を90%まで高めたという。機器の製造コストはおよそ10万円で、26年までに累計の売上高で50億円以上を目指す。
浴室以外での利用も想定する。約40平方メートルの範囲で転倒などを検知できることに加え、ベッドで寝ている人の動きや呼吸なども把握できる。病院の入院患者や介護施設の入所者の状態の把握に活用できる。行動パターンを分析すれば、認知症の早期発見などにもつなげられるといい、同技術を活用して高齢者向けのサービスを拡大する。