フィリップス×青森市、モビリティ活用で住民の健康促進目指す
2021年06月01日BeyondHealth
フィリップス・ジャパンと青森市は、「あおもりヘルステックセンター」を浪岡病院(同市)内に開設し2021年5月31日に本格運用を開始した。予防サービスを通じて蓄積されるデータの分析や見守りサービスの実施拠点として運用する考え。
浪岡病院は、老朽化に伴い2020年2月から建て替え工事を進めていた。新病院の開院に合わせて、今回の取り組みを開始した格好だ。同センターでは、浪岡地区住民の医療・健康に関する需要を分析、その結果を利用したサービスを企画・推進することで、住民に還元していくとしている。
青森県は平均寿命が最も短い都道府県として知られている。さらに、浪岡地区は、高齢化率や人口密度が全国の市区町村の中央値に近いことから、同地区の課題解決が全国に通用するモデルの創出につながるとフィリップスは見る。
既にフィリップスと青森市は、2019年2月に「ヘルステックを核とした健康まちづくり連携協定」を締結。同時に、事業を推進する共同体として「あおもりヘルステックコンソーシアム」を結成している。
その中で、2020年度には(1)モビリティを活用した予防サービス(フレイル/生活習慣病)、(2)IoTを活用した見守りサービス(訪問看護利用者/独居高齢者向け)、を開始していた。今回完成したセンターは、これらのサービスの実施拠点として運用していく。
(1)のモビリティを活用した予防サービス(フレイル/生活習慣病)では、高齢者の社会参加の機会や場が少なく閉じこもりがちであることや、特定健診受診率が低迷していることに対し、モビリティの活用により高齢者や働き盛り世代への簡易ヘルスチェックを提供する。近隣の集会所など生活圏内の様々な場所で実施することで、従来健康意識が低い人たちへの予防意識改善を促す。
このほど、青森県立保健大学とも連携し、三者での連携協定を締結。青森市民の健康課題解決においてモビリティがもたらす効果の検証など、産官学連携による成果の創出を目指す考え。
(2)のIoTを活用した見守りサービス(訪問看護利用者/独居高齢者向け)は、在宅医療に特化する施設が少ないことや医療/介護スタッフが不足している課題に向けたもの。自宅での生活/生体データ用いた遠隔での見守りを含めた、新たなサポートモデルを実証する。
フィリップスはこのプロジェクトを通じた取り組みが、自走可能な事業モデルとなるように運用・実証を重ねていく考え。中長期的には、「青森モデル」をベースに、日本全国さや世界に向けて課題を持つ地域の解決に努めるとしている。