高齢者見守り、アップルウオッチと提携 セコムがアプリ

2021年05月19日日経新聞


セコムは19日、高齢者の生活を見守る「安否みまもりサービス」で、米アップルの腕時計型端末「アップルウオッチ」と連携すると発表した。セコムの防犯センサーとアップルウオッチから得たデータを解析した情報を通じて、常に健康状態を確認できるようにする。新型コロナウイルス禍で、帰省がままならない身内に高齢者を抱える人々からの需要などを見込む。

セコムは6月にスマホアプリ「いつでもみまもりアプリ」を発売する。アップルウオッチから得られる高齢者の心拍数や歩数などのデータと、セコムが設置した防犯向けのセンサーなどから得られる情報を組み合わせ、クラウド上で解析する。その結果、遠隔地にいる高齢者の状況が詳しく把握できる。追加で温湿度センサーを付ければ、熱中症の危険性を知ることもできる。

料金は税別でアプリ利用が月100円、ホームセキュリティと合わせると月4400円からとなる。異常時は警備員が無料で駆け付けるほか、親族が異変を感じた場合に1回1万円(税別)で駆け付けを依頼できる。

まずはセコムの設置したセンサーのデータのみでサービスを開始し、解析の精度などの性能を高めた後に、今冬めどに本格的にアップルウオッチと連携する予定だ。

セコムは防犯センサーの検知情報を基に高齢者を見守り、警備員が駆け付けるサービスを提供してきた。健康管理のために独自の腕時計型端末を2017年に開発し、屋外での救急通報などに生かしてきた。

今回は高齢者の見守りに特化したアプリを発売しつつ、多くのデータを収集できるアップルウオッチと提携することで、見守りニーズを本格的に取り込む。今後は専用センサーを用いたより細やかな見守りサービスも検証する。

セコムは30年までの長期ビジョンで「あんしんプラットフォーム構想」を打ち出し、高齢者見守りや防災といった分野で外部との提携を掲げている。尾関一郎社長は「これからの警備や見守りには、駆け付けに加えて技術力が求められる。見守り分野では健康とテクノロジーを融合した企業にも注目していきたい」と語った。