スマホに不慣れな高齢者に3千台、渋谷区が無償貸与へ

2021年02月03日読売新聞


 住民の情報格差の解消を図るため、東京都渋谷区は新年度、区内に住む高齢者に対し、スマートフォン約3000台を無償貸与する方針を固めた。同様の取り組みは一部の自治体で進められているが、これほどの規模は異例という。

 区関係者によると、スマホ貸与は実証実験という位置づけで、利用状況を収集し、高齢者施策の改善に生かす。貸与するスマホは3000台程度となる見込みで、通信・通話料は区が負担する。スマホの使い方を説明する高齢者向けの講習会も開催する。

 同区はLINEとLINEペイを使って住民票の写しを請求できるなど、「来庁者ゼロの区役所」を目指している。新型コロナウイルス感染防止のために新しい生活様式が求められる中、行政のデジタル化を推進するには、スマホの操作に不慣れな高齢者への支援が不可欠と判断した。

 区では2019年の台風19号の際、ホームページやSNSで周知した避難所情報が高齢者に十分伝わらなかった。貸与するスマホには、避難指示・勧告などの発出が通知され、避難所の開設状況がわかる区の防災アプリのほか、見守りや健康増進につながるアプリが事前にインストールされる予定だ。