コロナ禍で訪問困難、ならば…SNSで見守り工夫

2020年11月27日神戸新聞NEXT

 

 新型コロナウイルス感染は、地域住民の見守りにも変化をもたらした。感染拡大防止のため民生委員やボランティアらによる家庭訪問が難しくなり、対面での安否確認や生活相談が十分できずにいる。そこで、電話や手紙の活用、会員制交流サイト(SNS)でのやりとりなど各地で工夫を凝らし、ウェブサイトで事例を共有する動きもある。

 全国民生委員児童委員連合会は4月、「3密」回避やソーシャルディスタンス(社会的距離)を保った活動を促すため、できるだけ電話やメールを活用するよう通知した。

 神戸市垂水区の民生委員・児童委員、日下静子さん(74)は無料通信アプリ「LINE(ライン)」で高齢者の安否を確認している。担当するのは70代の独居女性。持病があり「家で倒れても誰にも気付かれないのでは」と不安を感じているという。

 日下さんは「文章を考えるのが面倒になるとメッセージを送らなくなるのでは」と考え、主にスタンプを使い、短い言葉を添えるだけにした。女性からは笑顔の少女やウサギなどのスタンプがほぼ毎日送られ、元気でいることを伝えてくれている。担当する他の高齢者にもラインでのやりとりを勧めようと考えている。

 垂水区社会福祉協議会は「ウィズコロナの見守り活動にはSNS活用は有効だ。高齢者を対象にしたラインやビデオ通話の使い方教室が必要かもしれない」としている。

 神戸市社会福祉協議会はコロナ禍を受け、こうした取り組みを公式サイトで紹介。日下さんの活動のほか、なじみの民生委員が電話でおしゃべりのついでにフレイル(虚弱)予防や詐欺防止法も伝えるなどの取り組みを掲載している。

 野菜のプランター配布を通じた見守りを展開するのが淡路市社会福祉協議会だ。配布後、水やりなどをしている高齢者らを見掛けた近隣住民に適切な距離を保って会話してもらい、健康状態などの暮らしぶりを把握する。「野菜の世話が楽しみになり元気が出た」など高齢者にも好評という。

 この取り組みは、兵庫県内外の福祉関係者らによるウェブサイト「『つながりを切らない』情報・交流ネットワーク」で紹介されている。同サイトは感染防止との両立に向けたアイデアを提案する。同ネット共同代表で、淡路市社会福祉協議会の凪保憲(なぎやすのり)事務局長(50)は「地域ぐるみで培ったネットワークを維持しなければならない」と強調。全国の実践例の収集と共有を目指す。