フジテレビ商品研究所 これは優れモノ
セコム 見守りサービス「まごチャンネル with SECOM」  

2020年11月16日SankeiBiz

  

 コロナ禍で不要不急の外出を控え、人との接触をなるべく減らす生活習慣が広がった。特に高齢者のみの世帯では、近所付き合いや離れて暮らす子世帯との触れ合いが減ったことで、孤独感を抱く人も多いという。今回の「これは優れモノ」はセキュリティーと心の触れ合いをコンセプトにした新たなサービスを取材した。

 「堅いイメージのあるセキュリティー機能だけでなく、暮らしに潤いを与えるサービスを目指しました」と話すのはセコム企画部次長の松本敏弘さん(47)。システム開発者として入社し、米国で最先端の情報セキュリティーシステムを学び、IDカードや大規模施設の警備システムなどの開発・運用に携わってきたエキスパートだ。

IoTベンチャーと協働

 同社は日本初の民間警備会社として1962年に創業した。その2年後の東京オリンピックでは選手村の警備を委託されるなど、セキュリティーという概念を日本に根付かせてきた。

 同社がリーディングカンパニーとして、一頭地を抜いた理由は、マンパワーだけに頼らない警備システムを開発したこと。通信回線や最先端のコンピューターシステムを使うことで、警備担当者の負担を軽減し、結果としてより質の高いサービス提供を実現した。

 また、発足当初の日本の警備業はビルや公共施設、工場などを対象にしていたので、一般消費者には遠い存在だった。しかし、1981年に同社が日本初の家庭用セキュリティーサービスを提供開始したことで、そうしたイメージは一新する。

 安全や安心といった目に見えないものを具体的なサービスとして打ち出したことで、セコムの名前は全国区となった。

 同社では、これまで日本初となる自社開発のサービスを展開してきた。近年は異業種のパートナーと協働し、既存の枠組みにとらわれない斬新なサービスの創造にも挑んでいる。

 2019年には、AGC、ディー・エヌ・エー(DeNA)、NTTドコモと協働で「バーチャル警備システム」を開発。特殊なガラス面に人工知能(AI)を搭載したバーチャル警備員を映し出し、画面の前に立った来訪者の問い合わせに人間の警備員のように対応するという仕組みで、警備員配置の効率化、警備強化の両立を目指している。


 「当社では高齢者の見守りサービスも提供していますが、これに楽しさを加えました」と話す松本さん。IoTベンチャー企業「チカク」とのコラボレーションで、新サービスを生み出した経緯を説明する。

都からアプリで最優秀賞

 今年1月発売の「まごチャンネル with SECOM」は、子世帯がスマートフォンで撮影した子供(孫)などの動画・写真を親世帯のテレビに送れ、祖父母は使い慣れたテレビのリモコン操作で、孫の姿を視聴できる。さらに、親世帯の本体装置のセンサーからの情報で、子世帯は親世帯の起床や就寝、室内の温湿度の変化などをスマホのアプリで確認することができるという“優れモノ”だ。

 今年2月には、東京都が主催する「ダイバーシティ TOKYO アプリアワード」のアプリ部門において最優秀賞も受賞した。

 「本体装置には照度センサーなども付いていて、親世帯が元気で過ごしているかどうかをスマホを通じてチェックできます」。松本さんは、想定していなかったコロナ禍によって、結果としてより一層の社会貢献につながったと話した。

≪interview 担当者に聞く≫

 セコム 企画部次長・松本敏弘氏

 --開発の背景は

 日本は世界に先駆けて超高齢社会に突入している。2018年時点で65歳以上の高齢者のみの世帯が、1400万世帯以上に上り、そのうちの約683万世帯が高齢者の1人暮らしだ。当社では、これまで高齢者の安否見守りサービス、救急通報サービスなどを提供することで社会のニーズに応えてきた。今回は、他社と協働し、セキュリティー機能だけではなく、子供、孫など近親者との心の触れ合いも可能になった。

 --どんな仕組みか

 写真や動画を送信する側の子世帯がスマートフォンに専用のアプリをダウンロードする。写真や動画を撮影し、アプリを起動させ送信する画像を選ぶと、自動的に親世帯に設置した本体装置に届く仕組みだ。本体装置はテレビに接続されていて、テレビのリモコン操作のみで視聴ができる。本体装置は手のひらサイズで、ランプが点灯して受信を知らせる。

 --設置は高齢者に難しくないか

 本体装置に付いている電源コードをコンセントにつなぐだけで、スイッチがオンになる。本体にはオン・オフのスイッチなどは一切付いていない。そして、本体装置に付いているケーブルをテレビのHDMI端子に差し込むだけでいい。インターネット環境や特別な工事は一切不要だ。サポートする問い合わせ窓口も設けている。これまでのところ、トラブルはない。

 --見守り機能とは

 本体に接続されたセンサーで、置いてある部屋の温湿度、照度などを感知して記録し、子が持つスマホに送られる。夏場に部屋の温度が高すぎる場合、熱中症の危険を察知することも可能だ。照度なども分かるので、親世帯の起床や就寝といった生活リズムを人工知能(AI)が推計して通知してくれる。「まだ元気だから見守りは必要ない」という方にも楽しみながら利用いただきたい。当社が運営する老人ホームでも利用を開始するなど、今後も面会が難しい状況下での家族との交流ツールとしてさまざまな場面で役立てたいと考えている。