IoTで高齢者見守り 三菱電、年度内にも事業化

2020年10月14日日刊工業新聞

 

三菱電機はサービス付き高齢者向け住宅を対象に、IoT(モノのインターネット)技術を活用した見守りサービス事業を2020年度中にも立ち上げる。新型コロナウイルス感染症が流行して以来“3密回避”など施設職員の制約も増えており、人手に代わりデジタル技術で高齢者の見守りなどを支援する。成長著しいヘルステック分野で早期の新規事業創出を目指す。

三菱電機はビル設備や入退室管理システム、映像監視システム、自走式ロボットなど既存製品・技術を組み合わせて、サービス付き高齢者向け住宅用見守りサービスを開発する。現場での実証実験も行う。松下聡専務執行役ビジネスイノベーション本部長は「新型コロナで命の危険性が高いのは高齢者なので、最速で取り組んでいるテーマだ」と明かす。

コロナ禍は新たな社会課題を生み出した。「ケアする職員の方々も高齢者に直接触れられない、部屋に何人も入れないなどの制約があり、この状況をIoTの力でサポートできるはずだ」(松下専務)とサービス開発を急ぐ。

三菱電機は全社横断での新規事業創出を担うビジネスイノベーション本部を4月に新設した。従来の縦割りではなく、社会課題ごとの統合ソリューション開発を狙う。主な候補分野はスマートシティー(次世代環境都市)、モビリティー、ヘルステック、防災・減災、アイ・コンストラクションだ。松下専務は「杉山武史社長から『イノベーションの観点でやってくれ』『事業モデルから変革するようなことをやってくれ』と強く言われている」と話すなど期待は大きい。

ビジネスイノベーション本部は現状約30人の体制だが、新規事業が立ち上がれば順次増員する方針だ。ソリューション開発とともに、スタートアップ企業との連携を主導する役目もある。

5年間で総額100億円のベンチャー投資枠を設定し、オープンイノベーションを推進する。