見守り代行、コロナで広がり 1人暮らしに商品宅配、健康状態を家族へ

2020年09月01日西日本新聞

  

遠くに住む高齢の家族が元気にしているか、定期的に確認してもらう「見守り代行サービス」が広がっている。1人暮らしの高齢者が増え、体調によっては孤独死の心配もあるためニーズが増しているという。ふるさと納税の返礼品に加えた自治体もあり、新型コロナウイルス禍で帰省もままならなかった家庭に注目されている。

 「こんにちは、花屋です」。8月中旬、熊本市の一戸建て住宅。近くで「花屋はな輔」を営む須子(すこ)栄輔さん(31)がインターホンで呼び掛けると、ここに住む川上知佳絵さん(62)が顔を見せた。須子さんが差し出す花束を受け取り、「ありがとう」とほほ笑んだ。

 須子さんは、指定された家へ定期的に花を届け、住む人の安否や健康状態を依頼者に伝える有料サービスを手掛けている。川上さん宅は、関東に住む長男が半年前に契約。須子さんが月1回訪れている。

 「体調はどうですか?」。須子さんの問いに、川上さんは「大丈夫ですよ」。「すてきなサービスでありがたい。コロナでなかなか子どもに会えないので」と喜んだ。

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 今の届け先は市内の約60軒で、7割ほどが1人暮らしの60~80代。遠方の子どもが親を心配し、契約することが多い。サービスは昨年3月から、市のふるさと納税の返礼品にもなった。

 訪問すると、真夏にエアコンを使わず汗だくでいたり、外出中に気分が悪くなって道に座り込んだと打ち明けたりする高齢者にも遭遇する。その都度、家族にメールで伝える。

 コロナで契約は5軒ほど増えた。「帰省できない間、親に何かあったら、と心配して申し込む人が多いです」と須子さんは話す。

 同様のサービスは各地で広がっている。鹿児島県薩摩川内市では、牛乳販売店が商品を届け、住人の安否や体調の変化を確認。結果を依頼者にメールしている。佐賀県神埼市でも、乳酸菌飲料の配達員が類似のサービスを実施。秋田県能代市では、弁当を届けた配達員が安否確認とともに、ごみ捨てなどを手伝う。

 1人暮らしの高齢者は2015年の国勢調査で約593万世帯に上り、今後も増えるとみられる。ふるさと納税の仲介サイト大手「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンク(東京)によると、今年1~7月に見守り代行サービスに寄付された額は、前年同期から1・95倍に増えた。

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 コロナ禍を機に墓参りの代行業も普及してきた。見守りと同様、帰省できない人が利用しているようだ。

 サービスは墓を清掃し、線香を上げて花を手向け、写真を依頼者に送るのが一般的。石材会社や清掃用品レンタル会社、タクシー会社のほか、シルバー人材センターなどが参入する。高齢者や障害者の雇用にもつながっているという。

 トラストバンクによると、九州では大分県津久見市や佐賀県有田町、長崎県五島市などで実施され、ふるさと納税の返礼品になっている。全国で返礼品に登録された墓参り代行サービスの件数は今年7月末、前年から1・4倍に増えた。

 トラストバンクの広報担当者は「コロナの流行で、帰省して家族にうつすのを心配して利用する人が多いようだ。返礼品も品物でなくサービスの内容で選ぶなど、活用方法が変わってきている」と話している。