帰省できなかったあなた、リモート親孝行をしよう

2020年08月23日日経新聞

 

在宅勤務の広がりで、すっかり身近になったテレビ電話。スマートフォンで離れた家族と「リモート団らん」を楽しむ人が増えてきた。一方で、最新機器を受け付けない親世代の高齢者も少なくない。そんな高齢家族とリモートでつながりやすい機器、3種を紹介する。

うちの80代の母親は韓国ドラマの大ファン。それを見るためなら、スマホやタブレットの操作にも果敢にチャレンジして、今や動画配信サービスを使いこなしている。一方、娘がスマホアプリのLINEでペットの写真を送ってと頼んでも、「年を取っているから無理」と、一転、おばあさんアピール。娘のお願いは、韓国ドラマに完敗みたいで。

携帯電話は必需品でも、不要不急の目的がなければ、ややこしいスマホやタブレットはなくて結構という高齢者はまだまだ多い。そこで、そんなスマホアレルギーの高齢家族とつながれる機器3種を、実家に設置。母親に使ってもらうことにした。

まずは、もっともハードルが低いこちら。「まごチャンネル with SECOM」だ。親が暮らす実家にHDMI端子が付いたテレビさえあれば、設置可能。月額料金は必要だが、Wi-Fiも不要で、実家に送れば高齢の親が自力で設置しやすい。

テレビ電話はできないが、子ども側が専用アプリで孫らの写真や動画などを送ると、親側のテレビで閲覧が可能に。つまり、親が見ているいつものテレビに、「孫(の写真)専門チャンネル」を出現させることができる機器となっている。

親が写真を見ると、子ども側に通知がいき、ゆるい見守りにも。また、親側に置いた本体には温度と湿度と照度のセンサーがついているので、親の起床や就寝のほか、熱中症の危険などをチェックすることが可能だ。

本体の窓にあかりがともると、新しい写真が届いた合図。いつも使っているテレビのリモコンの入力切替ボタンで、うちの母親は簡単に写真が見られた。

続いて10.1インチの大型液晶画面が付いたAIスピーカー「アマゾン エコーショー」だ。Wi-Fiの設備や登録などのセットアップが必要だが、設置してしまえばこっちのもの。

アドレス帳に名前の登録があれば、例えば「アレクサ、お姉ちゃんに電話して」と話しかけるだけで、テレビ電話を始められる。電話を受けるときは、「電話に出て」とつぶやけばOK。それでなくても子ども、孫、ペットなどの名前を混同するうちの母親の場合は、コマンドは言えても「アレクサ」という知らない外国人の名前を覚えるのがけっこう大変。大きく紙で張っておくのがいいと思う。

ほかに天気予報やニュースをチェックしたり、音楽を歌詞付きで聞くなどの機能も声だけで使える。例えば「70年代の歌謡曲をかけて」と言うと、ピンク・レディーのペッパー警部などが始まる。実家に置くのが惜しくなり、今は娘の仕事場で70年代歌謡曲を奏でている。

最後は「ブイコード」。もとはAndroidのタブレットだが、なんと受話器が付いているのがポイント。固定電話のコードをつなげば、大きな画面のアナログ電話になる。また本体はタブレットなので、ネット経由のテレビ電話はお手の物。Wi-Fiでネットにつないで、LINEなどテレビ電話ができるアプリをインストール。画面で相手の顔を見ながら、受話器でテレビ電話ができる。

タブレットの操作が多少必要になるが、使ってみた母親によれば、受話器があると、昭和スタイルで電話ができるだけでなく、相手の声が聞き取りやすいのがいいとか。会社の受付やホテルの客室などに使う企業の顧客が多いというが、個人でも購入可。スマホアレルギーの高齢者の入門機としてオススメです。