レーダー用いた高齢者見守りデバイスの米Tellusが7.3億円を調達、日本出荷とともに高齢者施設への普及目指す
2020年08月20日TechCrunch
レーダー技術を用いた高齢者向け見守りデバイス開発の米スタートアップ「Tellus You Care」(Tellus、テラス)は8月20日、シリーズAラウンドとして総額7.3億円の資金調達を実施したと発表した。
引受先は、リード投資家の東京大学エッジキャピタルパートナーズ、NTTドコモ・ベンチャーズ、環境エネルギー投資、DG Daiwa Ventures、All Turtles LLC、個人投資家。今回の調達を経て累計調達額は10.5億円となった。
調達した資金は、研究開発、SaaSプラットフォーム開発、マーケティングなどに投資し、Tellusの事業基盤をさらに強固なものとする。日本国内の高齢者施設へのデバイス導入に注力し、在宅介護、将来的にはコンシューマー向けへの商品開発も計画。サンフランシスコ本社に加え、2020年2月に設立した日本法人でも多くのポジションを強化。パートナー企業とともに日本での事業展開を進めるとしている。
Tellusは、自動運転に使われる最新のレーダー技術をいち早く活用し、プライバシーを守る非接触な方法で人のバイタル(心拍・呼吸)情報を測定する研究を進行。2019年夏にNTTドコモと実施した実証実験など、複数・長期のテストを経て開発した最新デバイス「Tellus」は、室内の壁に設置するだけで対象者のバイタルや活動状況(在室・歩行・睡眠・転倒など)の情報を収集できるという。
これら情報はクラウドで管理・分析を行い、どこからでもアクセスが可能。高齢者などの長期的な健康管理や介護の負担軽減、さらには施設の経営支援に貢献するという。測定したバイタルデータを分析するアルゴリズムなどについては、すでに複数の特許を取得済みで、その他多くの特許も申請中。
Tellusの見守りデバイスは、手のひらサイズの90×90×32mm。使いやすさ・設置の容易さを重視しており、国内外での受賞歴のあるプロダクトデザイナー、鈴木元氏がデザインしている。設置についても、業者などによる工事は不要。ひとつの部屋に1デバイスを壁に掛けてコンセントに挿すだけで、対象者を見守り続ける。
介護施設向けの管理画面では、日本国内の複数施設での試用を繰り返し、使いやすさを追求。介護士の携帯電話に対して、転倒や離床などの事態にアラートが送られる。
Tellusは、スタンフォード大卒でGoogleなどでの事業経験を持つ2名が、遠方に住む祖父母の介護という原体験をきっかけに、最先端の技術でエルダー・ケア(高齢者介護)を革新的に変えることを目指し2017年7月創業。2018年からは All Turtlesの支援を受け、研究開発、日本市場へのフォーカス、事業提携や資金調達を行っている。
2020年7月31日、Tellusの見守りセンサーは、日本の介護保険制度における「要介護者等の日常生活の便宜を図るための用具」として認定された。これによって利用者は介護保険の補助を受けて、費用の1割~3割の自己負担(所得に応じて変動)でTellusをレンタルすることが可能となった。