軟らかハチ公ロボット 福祉分野での活躍期待 山形大が開発

2020年06月25日毎日新聞

 

 山形大学が、軟らかい素材でできたロボット「やわらかロボ!ゲルハチ公」を開発した。人が触れると人工知能(AI)が解析して鳴き声などを発する仕組み。開発者の一人、小川純准教授は「素材の質感は親しみを持ちやすい。癒やしになるのでは」と指摘。5年以内に実用化を目指し、福祉分野などでの活用を期待する。

 ゲルハチ公は、幅35センチ、奥行き100センチ、高さ86センチで、素材は「シリコーン(ケイ素樹脂)」を使用している。JR鶴岡駅に展示されている石こうの「鶴岡ハチ公像」がモチーフ。東京・渋谷のハチ公の試作品とされ、山形大は鶴岡のハチ公像保存会の協力も得て、製作したという。

 搭載されているカメラやマイクなどで人間の表情や音声などをAIが確認し、鳴いたり、首輪が光ったりして感情を表現する。長期間、同じ行動を継続すると動作のパターンを記録し、特定の行動をできるよう学習する。

 小川准教授は「目や耳が不自由でも、触れ合えるように設計した」と説明。今後は、高齢者などの見守りロボットとしての活用を検討するほか、健康管理のためにサーモグラフィーなどを搭載することも検討する。

 ゲルハチ公は2019年9月に渋谷であった福祉展示会や12月に東京ビッグサイトであった「国際ロボット展」に出展。昨年末から今年1月にかけて長井市の旧長井小学校第一校舎で展示されてきた。子供たちがハチ公の鼻にぶらさがるなど、多くの人に親しみをもたれたという。

 小川准教授は「(素材が)軟らかいロボットは、まだまだ認知度が低い。ハチ公は日本人なら誰でも知っているし、親しみを持ってもらいやすい」と話している。