在宅時間を楽しむスマートスピーカー活用術 遠方の家族とビデオ通話、祖父母の見守りも
2020年05月26日ITmedia NEWS
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、離れて暮らす家族や親戚と会うことが難しい状況になっている。緊急事態宣言解除といっても、以前のように気兼ねなくわいわい集まれるようになるには、もう少し時間がかかるだろう。
相手がスマートフォンやPCを持っていれば、ビデオ通話アプリなどで互いの顔を見ながら話すのもそう難しくはない。しかし、例えば筆者の祖母がそうであるが、携帯電話さえ持っていない相手と話したい場合はどうすればいいのだろうか。そんなときは、スマートスピーカーを利用する方法がある。
スマートスピーカーで家族とつながる
カメラとディスプレイ付きのスマートスピーカーでは、音声操作でビデオ通話が可能だ。その多くは手持ちのスマートフォンと連携して通話する仕組みだが、米Amazon.comの「Echo Show」シリーズでは、事前に自分のスマートフォンを使ってセットアップしたものを相手に送ることで、スマートフォンを持っていない相手ともビデオ通話できる。
Echo Showシリーズではさらに「呼びかけ」という機能があり、相手のデバイスに呼びかける際、相手が受話の操作をしなくても自動的につながって様子を伺える「見守り」が可能だ。もちろん、プライバシーへの配慮は必要だが、高齢の祖父母や両親との間にあるとうれしいライフラインだ。
スマートスピーカーはビデオ通話以外にも、家族のコミュニケーションに役立つ。例えば「Clova Desk」など、LINEのスマートスピーカー「Clova」シリーズでは、スマートフォンと連携させることで、LINEメッセージの送受信が可能。これを使えばまだ文字の読み書きがうまくできない子供も、スマホのタッチ操作に不慣れな高齢者も、音声操作だけで家族とLINEができる。
スマートスピーカーには、伝言メモを録音できる機能もある。その多くは「買い物リスト」など、自分用の備忘録としてメモを音声で残せるというものだが、こうしたリマインダー機能を活用したり、スマートフォンのアプリにあたる「スキル」を活用したりすることで、家族にも伝言メモを残せる。
買い物リストは、ぜひ活用したい非常に便利な機能の一つ。新型コロナの感染を抑えるため、今は買い物の回数をなるべく抑える必要がある。「あ、あれがない!」と気づいたときに「買い物リストに○○を追加して」と音声でメモしておくと、外出中でもスマホでチェックできるので、何度も買い物に行く手間を省ける。
スマホではアプリからテキストのリストを見られるので、わざわざ音声を聞き直す必要はない。リストにはチェックボックスも用意されていて、買い物が済んだらチェックして完了できる。買い物リスト機能は、AmazonのEchoシリーズと米Googleのスマートスピーカーで利用可能だ。
家の中に複数のスマートスピーカーがある場合に便利なのが、Amazonでは「アナウンス機能」、Googleでは「ブロードキャスト」と呼ばれる機能。スマホまたは1つのスマートスピーカーから、複数のスマートスピーカーに一斉に呼びかけができる機能で、「そろそろ起きて」「ごはんできたよ」などの音声メッセージを一斉送信できる。キッチンで朝ご飯の支度をしながら、寝室や子供部屋の家族を起こしたい時にも、大声を張り上げずに済む。
キッチンでのレシピ読み上げ、子どもの絵本読み聞かせも
スマートスピーカーには、自宅で過ごす時間を充実させるための機能も多く備わっている。家にいる時間が増えたことで自炊をする人も増えたと思うが、例えばキッチンにスマートスピーカーがあると、音楽やラジオを聞きながら料理ができるだけでなく、レシピの読み上げ機能なども利用できて便利だ。ディスプレイ付きのスマートスピーカーなら、材料や料理の手順を目でも確認できる。
ちろん、音声操作なので両手がふさがっていてもOK。「次の手順」と話しかけると手順を順に読み上げてくれるので、料理のペースにあわせて活用できる。「クックパット」「DELISH KITCHEN」など、人気のレシピサイトのスキルも提供している。
小さなお子さんのいる家庭では、子供への読み聞かせ機能を使う手もある。LINEのClovaシリーズには国内外の有名な童話を読み上げてくれる機能が備わっており、AmazonのEchoシリーズ、Googleのスマートスピーカーでも、さまざまな読み聞かせのスキルを提供している。例えば、講談社による「ディズニースーパーゴールド絵本」のスキルでは、絵本の内容をスマートスピーカーの画面に表示しながら読み聞かせできる。
ちなみに朗読機能は大人でも楽しめる。EchoシリーズではAmazonの「Audible」機能を使える他、Googleのスマートスピーカーでも「Google Play ストア」の「オーディオブック」機能を利用できる。いずれも事前にコンテンツを購入しておく必要があるが、Audibleの作品は購入に必要なコインを持っていれば、サンプルを聞いてから音声操作で購入することも可能だ。
さらにEchoシリーズには、「Kindleストア」から購入した本や、読み放題サービス「Kindle Unlimited」または「Prime Reading」で利用中の本を読み上げてくれる機能も備わっている。家事中のながら聞きにも便利だろう。
先日アマゾンジャパンが公開した、スマートスピーカーに関する調査によれば、利用者の42%(そのうち20代は60%、小学生以下の子供がいる家庭は55%)が「家族や大切な人との会話のきっかけが増えた」と回答したという。家族は離れていれば心配な一方、長く一緒にいるとぶつかることもあるが、そんな大切なコミュニケーションをつなぐアイテムとして、スマートスピーカーを活用してみてはどうだろうか。