子供やペット、高齢者の見守りにSIM内蔵「どこかなGPS」を衝動買い

2020年05月21日ASCII

 

ここ3年ほど、国内外で急速に需要と供給が増加傾向にあるIoT製品に”見守り系GPS製品”と、身の回りの財布やカバンなどの紛失防止グッズである”紛失防止タグ”の2つがある。後者の製品の99%は、Bluetoothでスマホと連携し両者の距離を監視することで、紛失防止を実現している安価な製品だ。

 一方、児童やペット、高齢者の見守り用にはSIM機能を内蔵したGPSタグ製品が、国内市場でもかなり普及してきた。本日ご紹介するSIM内蔵GPSタグ製品は、ソフトバンクのネットワークを利用して見守りサービスを実現する「どこかなGPS」という製品だ。

 当コラムでも以前、ソースネクストが発売している「Family Dot」という製品をご紹介した。今回の「どこかなGPS」もFamily Dot同様、児童や高齢者、ペットなどに携行してもらい、保護者や家族がその位置情報をリアルタイムで取得し、安心を共有するための見守りサービス製品だ。

 どこかなGPSの同梱物は、本体と充電用ケーブル、クイックスタートガイド、注意事項と保証書の4点だ。どこかなGPS本体は、縦横厚さ47×47×15.5mmで重さ34g、防水(IPX7)と防塵(IP6X)に対応した製品だ。正方形である点を除けば、ごく一般的なサイズの腕時計と比較してほぼ同じようなサイズ感だ。

 内部にはSIM、GPS、アンテナ、充電式リチウムイオンバッテリー(397mAh)などが内蔵されている。見守られる人は、どこかなGPSを体や持ち物に着けて携帯できるように、ストラップホールも用意され、中央には携行者がボタンを押すことで、見守りをしている保護者や家族のスマートフォンアプリに現在位置を知らせることのできる、電源オン/オフ兼用ボタンが配置されている。

 背面にはIMEI番号とQRコードが記されており、細長いキャップを開けたところに本体のリセットをするボタンが用意されている。どこかなGPSの充電は、付属のmicroUSBケーブルでごく一般的なUSB - ACアダプターでする。

 どこかなGPSは、ソフトバンクのLTEサービスエリア内で使用できる。本体の価格(1万3200円)に2年間の通信と位置サービスの費用も含まれている。2年経過後は通信費 月額400円で延長利用を選ぶことが可能だ。

 位置情報の割り出しには、GPSに加え、GLONASSや準天頂衛星「みちびき」によるGPS補完機能にも対応しており、より広い範囲で正確に測位が可能となっている。またWi-Fiや携帯電話基地局を組み合わせて利用することで、衛星の電波が届かない屋内や地下でも測位できるようだ。

 本体内蔵バッテリーの充電時間は約1.5時間、397mAhとこのクラスでは最小の内蔵バッテリー容量だが、3GではなくLTE-Mを利用することで実質的な駆動時間は2日間といったところが、筆者のここ2ヵ月ほどの経験値だ。

 見守り系のこの手のGPSタグでは、衛星などから入手した現在値データを通信回線を通じて何分おきにサーバに送るかという更新間隔によって、バッテリー駆動時間が大きく変化する。どこかなGPSは、3分、5分、10分、30分、自動更新なしの5段階が用意されており必要に応じてユーザが最適値を選択する設定だ。

 どこかなGPSも他社の製品同様、見守る人のスマホに専用アプリを導入することが必要だ。本体を充電している間に”どこかなGPSアプリ”を、機種に応じてGoogle PlayやApp Storeからダウンロードしてインストールしておこう。

どこかなGPSを初期設定しよう

 本体の充電が終わり準備が整ったらアプリを起動し、どこかなGPS本体の電源を入れ、初期設定をする。どこかなGPSとスマホをBluetooth接続して、”どこかなGPS ID”を登録する。Yahoo! JAPAN IDを持っていれば入力項目の多くを自動的に進めてくれるが、筆者は普通に姓名、ヨミ、生年月日、性別、利用用途を選択して入力、登録したが、ごくわずかな時間で終了した。

 アカウント登録のために、電話番号と、メールアドレスを入力し、SMSで送信されてくるそれぞれの確認コードを入力、どこかなGPSのパスワード設定をすれば、使用のための初期設定はほぼ終了だ。

 続いて便利に使うために、詳細設定が必要だ。どこかなGPSアプリを起動すると、周辺地図の上にどこかなGPSの現在位置が表示される。筆者はワンコの見守りに使う予定なので犬のアイコンを選んだ。右下の歯車アイコンの設定をタップすると、Bobbyと名付けた筆者のどこかなGPSの設定画面が表示される。

 最上段には先ほど選択したワンコのアイコンが表示されるが、ここはやはり自分のワンコの写真や子供の写真を使いたいのがユーザ心理だろう。ちょっと残念だ。メニュー上の”どこかなGPSを鳴らす”は、一般的なBluetoothタグやスマートフォン等にもある、すぐ近くにあるはずだけど行方不明になった、どこかなGPSの音を鳴らして発見支援をする仕組みだ。もちろんBluetoothの通じる範囲に限られる。

 それ以外に、”通知設定”、”現在地更新設定”、”見守る人の追加・変更”などが大事な設定だ。通知設定はどこかなGPSを持った人が、あらかじめ決められたエリアに入ったり出たりした場合にその情報がちくじ送られてくる仕組みだ。筆者はワンコを連れてよく散歩に行く近所の公園などを複数設定した。

 例えば、そのうちの一つである不忍池を登録するには、地図上に円弧でエリア指定して名称を付けるだけだ。そのエリアへの出入りに関して、見守りをしている誰のスマホに通知を送るかも個別に指定可能だ。

 続いての設定は、”ただいま通知”という風変わりな名前の設定項目だが、これはWi-Fiが設置されているエリアにどこかなGPSを持った人が出入りした場合に、見守る人へその行動が通知される仕組みだ。筆者は今のところ自宅だけを設定しているが、お子さんのいる家庭なら、祖父母の家とか、塾とかを設定することも可能だろう。これも見守る人のなかの誰に通知するか、日時を指定して、細かく選択や指定することが可能だ。これはなかなか使える機能だ。

 これまではエリアへの出入りがトリガーになる自動通知だったが、つぎの”いまここ連絡”はどこかなGPSを持つ見守られている人が、どこかなGPSのボタンを1回押すことで、現在地が、見守る人に通知されるサービスだ。どういう時にボタンを押すかを事前に決めておけば、かなり有効な手段となるだろう。

 そして”はなれたらアラート”はどこかなGPSを持ったペットや児童、高齢者などがBluetoothの範囲の外に出て離れてしまった時に、プッシュ通知が送られてくる遺失物管理とよく似たサービスだ。デパートや商店街などでちょっと目を離したすきに、子供がどこか別の場所に行ってしまうという場合などの迷子対策手段だ。

 それ以外の通知機能としては、電池残量通知設定や、設定変更を加えた場合の設定変更通知などであるが、これらはあくまでオーナーへの通知だけでも大丈夫だろう。

 さて続いて重要な設定項目は、”現在地更新設定”だ。筆者は、地図上の移動位置の細かな情報が欲しいので3分間隔での更新を指定しているが、バッテリー持続時間を優先したり、高齢者で移動スピードの遅い場合などは5分ごとでも良いかもしれない。あくまで使う目的と期待値に合わせて、運用しながらベストな設定をするべきものだろう。

 バッテリーの持ちを最大化するには、”自動更新を無効にする”を選択し、見守る人が、自分のスマホアプリ上で更新ボタンを押すことで知ることができるオンデマンド型のサービスが前提だ。バッテリーの持ちと、移動情報の高精度な通知は相反する要素なので、目的に応じて対応するべきものだろう。

 設定の最後は、どこかなGPSを携帯している人を見守る人の設定だ。どこかなGPSでは管理者以外に3名までの見守る人を設定可能だ。筆者は家族2人と筆者のもう1台のメインスマホであるXperia 1でも見ることができるように設定している。

 見守りたい人の追加はQRコードや招待コードにより、簡単に追加ができる仕組みが提供されている。

ボビーがどこかなGPSをしょってGO!

 さて、今度は実際のどこかなGPSとどこかなGPSアプリによる追跡イメージの実際を見てみよう。もう2ヵ月ほど、どこかなGPSを使っているが、今回はその中から2例ほどをご紹介したい。

 前述したが、筆者の場合はペットの見守りが主目的だが、もちろん我が家のワンコは放し飼いではないので、実際には飼い主である私との”散歩ログ”のようなイメージだ。実際にどこかなGPSはワンコのハーネスにケータイストラップを使ってぶら下げている。最初のGPSログは散歩の定番コースである上野公園に行った時のものだ。

 散歩の移動中でも移動が終わって自宅に戻った後でも、GPSの実際の移動ログを地図上に配置して細かく見ることができる。黄色いドットが筆者が設定した3分ごとにGPS信号が送られた様子を現している。縮尺が大まかだと、黄色いドットは殆んど連続したように見えてしまうが、地図をピンチアウトして拡大して見るとドットの間隔がまちまちであることもよく分かる。

 ドット同士の間隔に大きな差異があっても、隣り合わせたドット間は基本的に3分間だ。ドット間の距離が近い時はワンコのお気に入りの場所なので、同じ場所に長く停滞していた様子を示しており、間隔の広いところはそれなりのスピードで移動した結果だ。上野公園近辺をご存知の方なら分かると思うが、この日は、最終的に国際こども図書館の前、寛永寺の徳川墓所の前、国立博物館の裏を通って帰宅した。

バッテリー持続時間を考慮するとGPS情報の取得は3分で十分

 もう一つの散歩ログは、浅草方面の公園への散歩だ。こちらは、きわめて広い上野公園のように道がないところを移動することもないので、道と3分ごとの移動経路の関係がよく分かる。筆者とワンコは概ね道沿いに移動しているのがご理解頂けると思うが、ごく一部、道ではないところを斜めに横切っている箇所もある。

 残念ながらこれはワンコと一緒に散歩している筆者の歩くスピードと、3分間隔で現在地を通知するという点を直線で結んだための誤差だ。しかしどこかなGPSは、GPSの位置精度は高いので大きな誤差になることは少ない。現在位置の通知更新間隔を1分にすればより正確に道なりに移動する筆者とワンコの姿が見えてきそうだ。

 しかし移動精度を追求するあまり、いたずらにその更新間隔を短くすれば、バッテリー持続時間に悪影響を及ぼすのは確実だ。今のところ、どこかなGPSの3分という更新間隔は小学生や高齢者の見守りとしては十分ではないだろうか。

 バッテリーの持ちを最優先に考えて、10分間隔や30分間隔の現在位置更新をするなら、前述した”ついたよ通知”や”ただいま通知”、どこかなGPS携行者による”いまここ連絡”等と組み合わせた利用方法を推奨したい。

 ただ筆者の現在までの経験からでは、現在位置更新の間隔を3分としても、ぎりぎり2日はバッテリーが持つので、筆者にとってはその設定がベストだ。しかし充電スタイルが本体にmicroUSBケーブルを挿してACアダプターからというのが、2日に1回だと多少面倒な気がする。

 どこかなGPSの定常位置が児童のランドセルにぶら下げるか、高齢者のベルトに付けるといった具合なら、充電のためにどこかなGPSを取り外して何処かに置くとしても、次に取り付けるのを忘れないためには玄関先のどこかだろう。恐らく玄関先の下駄箱の上に充電設備のありそうな家庭はそれほどないとは思うので、簡単な着脱キットやドッキングステーション型充電器があれば便利だろう。

 位置情報に関しては優秀などこかなGPSだが、筆者が使ったこの2ヵ月の間に、何度かGPSの現在位置が大きく現実と異なる場所を指し示すことが2度ほどあった。2回ともあり得ないくらい遠くまで3分間で飛んで行ってしまって、次の3分間で戻ってきたので勘違いすることのないジョークの範囲だが一瞬驚いてしまった。

 毎日、どこかなGPSを使っていると、昨日の移動データを見たいってことは頻繁にあるとは思うのだが、どこかなGPSアプリでは、移動データのログを最大3日分はさかのぼって見ることができるので便利だ。

 どこかなGPSは、キャリアであるソフトバンクから発売されたばかりの低価格帯見守りサービスの一つだ。本体に2年分の全てのサービスがパックされて1万3200円(月550円)は他社に比べてかなり安価だ。どこかなGPS本体はもちろん、アプリの設定もきわめて簡単確実で面倒なIoT知識は不要だ。小学校に通う児童や高齢者の見守りを必要とされる方にとって、今現在のベストバイ商品だろう。