高齢者見守りシステム開発 スワリカブランド
2020年03月21日長野日報
公立諏訪東京理科大学(茅野市)を核として産学公連携で取り組む「『スワリカブランド』創造事業」で、実証実験が進められている山岳見守りシステムの技術を応用した高齢者(特に認知症の人)の見守りシステムの開発が進んでいる。LPWA(ローパワーワイドエリア)無線技術を使った居場所が特定できる見守りシステム。諏訪地方の企業がそれぞれの専門分野で関わりながら開発を進め、試作品が完成。近くモニター調査を行うという。
山岳見守りシステムは、同大学の小林誠司特任教授をリーダーとし、諏訪地方の民間企業が参画するプロジェクト。消費電力が少なく遠距離通信可能なLPWA技術を使い、登山者が携帯するデバイス(送信機)が数分間隔で発信する信号を受診することで位置やルートを把握する登山の安全につなげるシステム。
このシステムを応用して開発しているのが高齢者の安全見守りシステム。開発に際しては、特に認知症の人にいかに持ち歩いてもらえるかが大きな課題になったという。機器の不携帯や紛失も想定されるため、違和感なく身に着けられるデザインを優先した結果、機器を袋に入れる「お守り」型にすることにした。
デザイン制作は一般社団法人・蓼科塾が担当。より親しみやすくするため、伝統の「裂き織り」と、御柱祭のお守りで使われる「リリアン編み」を採用。裂き織り指導者や茅野市内の衣料品店にお守り袋の製作を依頼した。
合わせて袋の中に入れるデバイス本体も、外部に出ていたアンテナを内蔵するなど持ち歩きやすいように改良。スマートフォンで位置情報が確認できる専用アプリも開発した。今後は、諏訪地方の高齢者のいる家庭でモニター調査を行い、さらに小型化などの改良を重ねて製品化を目指すという。
自身の親も認知症だったという小林特任教授は「認知症の家族を持つ人の大変さはよく分かる。安価で使いやすい機器が普及することで少しでも負担軽減につながれば」と話している。