高齢者見守るロボット、兵庫で実証実験 家族に写真送信

2020年01月10日朝日新聞

 

 兵庫県市川町は来月から、ロボットを使って一人暮らしの高齢者を見守る実証実験を始める。離れて暮らす家族が、ロボットを通じて高齢者の様子を確認できる。町は実験で評判がよければ、4月から正式にロボットの貸し出しを始める方針。

 実験に使うのはNECが開発した見守りロボット「PaPeRo i」(パペロアイ)。高さ約30センチ、幅約20センチで重さは約2キロ。一般販売はしていない。

 高齢者がパペロの前に立つと、朝昼晩の1日3回、写真を撮影し、その写真と室内の気温・湿度のデータを離れて暮らす家族のスマートフォンなどに送る。安否の確認や熱中症予防に役立つという。高齢者から家族への音声メッセージの送信や、天気やニュースなどについて簡単な会話ができる機能もある。

 NECによると、このロボットを使った同様の実験は愛媛県西条市に次いで全国2例目。「安心感がある」「孤独感が薄れる」と好評で、同市は昨年1月から正式に高齢者への貸し出しを始めたという。

 市川町では今月7日、町保健福祉センターで説明会があり、高齢者がロボットとの会話を体験した。同町小谷の前川光子さん(82)は「話してくれたら、にぎやかですね。楽しかった」と話した。

 同町は人口約1万2千人に対し、65歳以上の高齢者が約4300人で、高齢化率は35%を超える(昨年12月末現在)。町には以前から一人暮らしの高齢者やその家族から「話し相手がいない」「親が独りで心配」などの相談が寄せられていた。

 町は実験に協力するモニターを24日まで募集している。対象は町内に在住する主に一人暮らしの高齢者で、7世帯に2月1日から2カ月間、ロボットを無償で貸し出す。町は結果を踏まえ、4月から有償での貸し出しを始めるかを判断する。問い合わせは町地域包括支援センター(0790・26・1999)。