「ゆるーい見守り」で実家のテレビに“孫専用チャンネル” 電話やLINEより優れた効果

2020年01月02日AERA dot.

  

 今や家の中のドアやエアコン、ドライヤーやテレビのリモコンを通して、親の動きを確認できる時代。キーワードは「ゆるーい見守り」だ。AERA 2019年12月30日-2020年1月6日合併号では、見守りデバイスの最新事情を紹介する。

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 見守り家電なるものが、初めて世に知られたのは2001年のこと。象印が始めた「みまもりほっとライン」が最初だった。こちら、湯沸かしポットの形をした見守り家電。ポットからお湯を注ぐたびに、見守る側の携帯電話などにお知らせが飛ぶ仕組みだ。

 自分も10年以上前に実家に置いて、その使い心地を体験したことがある。離れて暮らすようになって久しい親の、1日何十回もお茶を飲んでいる生活パターンを初めて知り、ほっとしたり、あきれかえったり。

 その発売から18年。気がつけば、今や家電からドアまで、家の中の森羅万象が見守りデバイス化するようになった。モノがインターネットとつながるIoTも発達して、見かけはただの家電が使用状況を報告する例も増えている。

 例えば、電気の消費量から家庭にある8種類の家電の使用状況を分析する東京電力エナジーパートナーの「遠くても安心プラン」とか。毎日決まった時間に自動音声で実家に電話をかけ、現在の健康状態を3択で答える郵便局の「みまもりでんわサービス」なんていうのもある。

 とくに最近は、ゆるーい見守りがキーワード。どの商品のサイトを見ても、「やさしくそっと」とか、「高齢者のプライバシーを侵害せずに」などのコピーが多い。要は親も元気に毎日をエンジョイ中。だから見張りではなく、見守り。カメラやマイクで監視するより、カメラやマイクなしで、親の状況をウォッチしたり、ついでに親とのコミュニケーションもできてしまう一石二鳥のデバイスが増えている。

 ま、これも実家のデジタル化の一種。「新しいことはやりたくない」とか、「使い方がむずかしい」などと思い込んでいるデジタルアレルギーの親が、意識せずデジタルの恩恵に与(あずか)ることができるグッズも多い。

 例えば、IoTベンチャーの「チカク」が発売している「まごチャンネル」。その名前の通り、実家のテレビと家の形をした本体をケーブルで結ぶと、今まで使っていたテレビに「孫専門チャンネル」ともいえる、新たなチャンネルが出現する。

 ここに子どもがスマホから動画や写真を送ると、家の形をした本体の窓の部分に灯(あか)りがともる。親側が、リモコンの「入力切り替え」ボタンでチャンネルを合わせると、その写真や動画が見られる仕組みとなっている。視聴されると、送った側にも通知がいくので、見守りにもなる。また20年1月には「セコム」の環境センサーを接続することで、「起きた」「寝た」など、暮らしの様子を知らせる機能が加わった商品も発売される。

 チカクの梶原健司社長は言う。

「お孫さんだけでなく、ペットの動画などを送るユーザーも多いです。今年あった大きな台風では、お子さんがネットの避難情報をキャプチャーしてまごチャンネルに送信。電話やLINEなどより説得力は絶大で、親御さんは避難して事なきを得たという便りもいただきました」

 考えてみれば、いつでも、どこでも、誰でも情報を簡単に取り出せるのがITの本懐。これもデジタルの未来形のひとつだ。

 さっそく実家のテレビに設置して、ペットの動画なんかを送ってみた。うちの親はLINEもやっているが、テレビの大画面に届く動画のインパクトはスマホの比ではない。台風の避難情報じゃないが、これは何かをお願いするビデオメッセージなどを送れば、強情な親の説得にも効果がありそうだ。一方通行なのは一見不便だが、デジタルの手紙のようで、かえって都合のいい場合もあるのかも。