中小企業のアイデア製品が多数展示、「新ものづくり・新サービス展」レポート

2018年12月13日PHILEWEB


東京ビッグサイトにて開催中の「中小企業 新ものづくり・新サービス展」では、全国の中小企業総勢733社が集合し、展示商談会を行なっている。

ここでは、ものづくり補助事業に取り組んだ事業者が、補助事業を活用して開発した新しい製品やサービス、技術などを展示しており、販路開拓や拡大支援の活路を開く場となっている。

スピーカーユニットの輸入販売や、オリジナルのスピーカー・オーディオ機器などを制作・販売する「横浜ベイサイドネット」もここに出展している。目玉となっているのは、ハイブリッド型オーディオパネル「アーティパネル」。消臭・抗菌効果を有するリサイクル素材「レゾナンスボード」を活用したオリジナル製品である。

世界初・新開発の「レゾナンスボード」は、(株)伊藤園の茶殻配合ボード、(株)コスモプロジェクトのサーモウールボード、高千穂シラス(株)のシラスボードが用いられている。これらにより、室内の調湿機能や抗菌効果、消臭効果などが期待できるという。

今回展示されたハイブリッド音調パネルは、オーディオルームや演奏室を始め、会議室や打ち合わせのコーナー、店舗やレストラン、さらには災害時の緊急避難場所などでパーティションとして活用できるものとなっている。

同展示会での興味深い出展をいくつかレポートする。音元出版刊行「ホームシアターファイル」でもレポートされた電気店「K-DIC(ケィ・ディック)」。同店では、家電やリフォームなど住設、光通信などの事業を展開し、ホームシアターのインストールも手がける。出展でアピールされていたのは、2017年に設置したという高齢者のためのIoT製品の体感施設である「IoTラボ」。

「IoTラボ」は、家電や住設とインターネットを組み合わせたIoTサービスを展開。冷蔵庫内の内部センサーによる自動発注システム、マッサージチェアで測定する体重や血圧など体調管理データの医療サポートへの活用、AIスピーカーによるユーザビリティの向上といった内容がここで体験できるという。高齢者に対する見守りの取り組みとして、単身高齢者や高齢の親をもつ子供世帯、病院や地域包括支援センター、工務店、地域のサービス業などにアピールする。

「ライト・イア合同会社」が展示する「超薄型全面ダイレクトドライブ(WSDD)方式のスピーカードライバー」。コーンスピーカーのようにコーン紙を使うことなく、回路パターンから信号をダイレクトに空気の振動に変換する構造を採用し、ひずみが少なく過渡的な音声信号に忠実に応答するという。軽いアルミの振動板と回路が一体となっている。この新開発スピーカードライバーを量産できる体制が整い、応用製品や販路を広げていく構え。

ネット販売などで展開する「ピロースピーカー」は、音楽プレーヤーに接続して枕の下に敷いて使う。薄型形状で音質はクセがなく、心地よいリスニング体験ができるほか、スピーカーは指向性が強く周囲への音漏れが少ないため、入院時のベッドなどでも用いられているという。来週から新たなドライバーを用いた製品を、クラウドファンディングにて展開する。

「合同会社サウンドロープ」が展示する「CUT&REC」のサービス。オリジナルのアナログレコードが作成できるオンラインサービスである。7インチ、10インチ、12インチのレコード盤とジャケットを制作、1枚からの小ロット生産もできる。レコード盤は塩化ビニール性で音質、耐久性に優れ、ジャケットとレーベルには表面にラミネート加工が施され長期間の保存にも耐える。

神田小川町のカフェ「ジャズオリンパス!」は、新開発の鍋掛け軽量カップを展示。店の看板商品「赤いチキンカレー」の調理の際に、油など粘着性のある調味料を計量し鍋に入れる際に計量カップに粘着して注ぎにくく、カップを逆さまにして鍋にかけっぱなしにできると便利、という発想からつくったものだという。把手の上部がない形状で鍋のフチに引っ掛けることができるもので、容器・スタンドとしての特許を取得している。

小企業のさまざまな開発アイデアが展開され、それらを活用する企業などとの「出会いの場」となるイベント。ビジネスのヒントを得る場としても注目される。

ものづくり補助事業展示商談会「中小企業 新ものづくり・新サービス展」
場所:(東京会場)東京ビッグサイト 西1・2ホール
開場日時:2018年12月11日(火)11:00~17:00 12月12日(水)10:00~17:00 12月13日(木)10:00~16:00
入場無料
主催:全国中小企業団体中央会