高齢者見守り、賢く割安に 電気使用量などから察知
2018年12月03日日経新聞
高齢者の身に何かあった際に、親族らに知らせる見守りサービス。従来は警備会社のスタッフが駆けつけるなどの手厚いサービスで、月額数千円以上かかるケースが多かった。最近は電気使用量の変化などから異変を察知するサービスが広がり、これを賃貸住宅オーナーに提供する企業が増えている。料金は月数百円程度だ。
新電力事業者のアイキューフォーメーション(東京・目黒)は、加入者の電気使用量に一日中変化がない場合、親族らに知らせるサービス「見守り電気」を8月に始めた。異変を即時に知らせることはできないが、利用料は月300円だ。
これに加え、入居者が孤独死した部屋の原状回復費用などを補償する保険を組み合わせたサービスも9月から販売している。賃貸住宅オーナー向けで月980円。オーナーは孤独死があった際も早期発見などで物件の被害を軽減できる。見守りという付加価値で入居者募集につなげられる。
入居者の状況をこまめに確認できるサービスもある。バリューケア(東京・中野)は見守り用の小型センサーを8月に開発した。冷蔵庫のドアなどに付け、1時間ごとなど設定した時間内にドアの開閉があったかどうかを親族らにメールなどで知らせる。
大阪府住宅供給公社などと組み、同社の団地で年末まで実証実験を続ける。年明け以降、月額200円程度の料金で一般の賃貸住宅オーナーらにも販売する予定だ。
空室率を下げたい一方、入居中に孤独死するリスクから高齢者に部屋を貸しにくい――。そんな悩みを持つオーナーのニーズをとらえたサービスが広がりそうだ。