孤独死をなくしたい」~不動産と高齢者を結ぶ
2018年11月07日Net IB News
(株)あんしんサポート(福岡市城南区)は、高齢化社会が引き起こす社会問題、とくに孤独死を未然に防ぐことを企業理念として活動している。
古賀功一社長は「福岡市西区で起きた孤独死のニュースを見たことが始まりだった」と起業当時を振り返る。同社の前身は、NPO法人在宅医療サポート協会。当時の協会では、高齢者が有事の際にすぐに通報できるシステムの導入や、振り込め詐欺対策の防止機器設置を、主に自治体を通じて行っていた。
古賀社長は、よりサービスを広げるために「自治体だけではなく民間企業との接点が必要」と考え、2017年5月にあんしんサポートを設立。同社は、高齢者の生活サポートを行う3つの事業を展開している。それまで取り組んできた自治体向け緊急通報システム導入を中心としたコンタクトセンター事業部、クリニックなどの在宅医療機関向けのオンコールサポートを行うメディケア事業部、そして不動産業者と一般ユーザーに向けたオンコールサポートを手がける「まごころ事業部」だ。
まごころ事業部が不動産業者向けに提供している「シニアあんしん住宅」サービスは、「空室を減らしたいが、入居者がなかなか決まらない」という不動産業者と、「入居したいが、高齢のために審査がおりない」という高齢者を繋ぐ架け橋となっている。
シニアあんしん住宅サービスは週2回、入居者へオートコールを行い、もし応答がなければオペレーターから直接安否確認を行うサービスだ。また、月1回の状況確認と相談サービスを電話で行い、より具体的に高齢者の生活をサポートする。死亡事故などの万一の場合に備えて、不動産会社への保険サービスとして原状回復費用最大100万円までの保証も準備した。最大の特徴は、コールセンターのオペレーターに有資格者がいること。看護師や介護士資格を持つオペレーターは医療・福祉機関での勤務経験もあるため、安否確認だけでなく状況判断もより的確に行える体制を整えている。
単身高齢者の入居は「孤独死」の危険性があるため、入居を拒否する不動産業者も少なくない。シニアあんしん住宅サービスは現在、ダイワリビングやハウスメイトパートナーズなど60社以上の業者と契約を結んでおり、こうしたサービスへ加入することを条件に受け入れるケースも増えている。
「私たちの高齢者向けサービスは、孤独死を減らすだけでなく、介護を理由とした離職や家族の負担を減らすきっかけにもなる。さまざまな悩みを抱える高齢者をサポートしたい」。古賀社長の言葉は、高齢者とその家族を支える社会がどうあるべきか、大きなヒントになるのではないか。