被災度を診断できるIoT住宅、見守りや盗難防止も
2018年10月19日日刊工業新聞
東京理科大学工学部の伊藤拓海准教授らは、地震などによる停電や通信断絶時も使える、建物被災度診断のためのIoT(モノのインターネット)モニタリングシステムの開発に向け、実証実験を始めた。IoTセンサーと人工知能(AI)解析などを組み合わせ、建物の変形などから被害を自己検知し、住民のスマートフォンなどに通知するシステムを目指す。地震後の建物被災度診断を無人化・高度化し、復旧の早期化につなげる。
大分県国東市と連携し、同市に建てた木造の試験建屋で実験する。建物の振動や周囲の熱などで発電する「環境発電」を利用し、停電時も機能するようにする。結果は、災害による通信渋滞を避け、省電力無線通信で通知する。
普段から揺れなどのデータを取得し、平常時の建物や住民の動きを機械学習する仕組み。地震で建物に変化があれば、変形や振動の状態から損傷箇所を特定、損傷度を推定する。建物への侵入や住民がケガや病気で日常と異なる動きをすれば、その動きを認識して通知も可能。盗難被害の防止や1人暮らしの高齢者らの見守りにも役立てる。
国東市は高齢化が進み空き家も多い。戸の開閉や振動を与えるなどし、モニタリングの有効性を確認する。