IoTで高齢者見守り/高松
2018年10月16日読売新聞
高松市は香川高専、医療系ソフトウェア会社などと、あらゆるモノをインターネットでつなぐ「IoT」を活用した高齢者を見守るシステムの実証実験を行っている。体に付けたセンサーで心拍数や体の姿勢を測定し、体の異変をスマートフォンを通じて家族らに知らせるもので、15日からデータ収集のため、老人ホームの利用者にセンサー付きベストを着てもらう試みが始まった。
香川高専電子システム工学科の研究室が、高齢者の呼吸や心拍数、体の姿勢を測定するセンサーと全地球測位システム(GPS)が付いたベストを開発。実験では、まず生活の中で変化する心拍数や体の姿勢のデータを蓄積し、データ上の変化が、どういった体の異変を示すものなのか、体系化していく作業を始める。
最終的には、センサーを付けた高齢者の体に異変が起きた場合、すぐに家族らが持つスマホに通知されるようにする。薬の飲み忘れによる体の変調などにも対応できるようにしたいという。
15日は高松市鶴市町の特別養護老人ホーム「エデンの丘」で、デイサービスを利用する79歳以上の高齢者計12人がセンサー付きベストを着用。データ解析を行う医療系ソフトウェア会社「ミトラ」(高松市)の社員が着心地などを聞きとったり、利用者の行動を記録したりした。
7日間で延べ100人の高齢者を対象に実験を行い、1日約5時間ベストを着てもらう。協力した新池ヨシエさん(92)は「肺に病気を持っているので、何かあったときのことを考えると安心です」と話していた。
今後、市内の介護事業所や在宅の高齢者にも実験に協力してもらい、ベスト以外の装着方法なども模索していくという。総務省のIoTサービス創出支援事業として実施しており、高松市によると、2019年度中にもミトラが商品開発し、市は購入者に対する費用の助成などを行っていく方針。
市長寿福祉課は「高齢者の見守りにIoTを活用することで、自宅での生活を希望する高齢者などの後押しをしていきたい」としている。