アプリ・発信器…ICT高齢者見守り 青森・むつ、導入

2018年10月14日朝日新聞


 行方がわからない高齢者をICT(情報通信技術)を使って捜索する模擬訓練が2日、青森県むつ市であった。市は高齢者らの見守りシステムとして12月から導入するとしている。
 利用する情報通信ツールは500円玉大の発信器(5千円程度)とスマートフォン用の専用アプリからなる。このアプリを入れたスマホを持ち歩いている人が、発信器を身につけた不明者とすれ違うと、電波を受信。不明者を捜している利用者のスマホで、電波を受信した場所と時間を逐次確認できる。

 電波が届く範囲は半径約30メートル。専用アプリが入ったスマホを持ち歩く協力者が多いほど、発信器を持つ不明者とすれ違う確率が高まり、居場所の特定につながる。医薬品メーカーのエーザイとIT企業のMAMORIO(ともに本社・東京)が共同開発した。

 この日の訓練は、80歳の女性が家族の知らないうちに外出、行方不明になったという想定。捜索にあたる警察官や専用アプリ入りのスマホを持った市職員、「市高齢者等見守りネットワーク」の協力事業所の関係者ら約35人が参加した。

 捜索開始とともに、家族役のスマホに次々と居場所の情報が入り、警察官の捜索開始から16分で、行方不明者役が発見された。参加した警察官は「不明者の場所がある程度わかり人を集中的に動員できたので、早期発見につながった」と評価した。

 市には、認知症で行方不明になる可能性のある人の身体的特徴や写真を登録してもらい、早期発見につなげる「おかえりネット(市認知症SOSネットワーク)」がある。市によると、認知症を患っていると思われる市民は8月現在で推定2770人だが、登録者は11人にとどまる。

 市地域包括支援センターの池田雅文所長は「発信器は11人全員に配布するが、必要とする人はまだまだ多いと思う。高齢者見守りネットのアナログな力とデジタルな力の両方でサポートしていきたい」と言う。