香川)ネットで高齢者見守り 高松市が10月にも実験
2018年08月30日朝日新聞
高齢者にウェアラブル端末機器を身につけてもらい、居場所や体調を家族らがインターネット上で見守る事業が高松市内で動き出す。市が県内の高専や企業と端末の開発を進め、早ければ10月にも実証実験を始める。
総務省は、身の回りのあらゆるモノをネットにつないで情報をやりとりする「IoT」を活用して身近な課題を解決する事業を募っている。高齢者の転倒事故などを減らす介護予防の試みとして高松市などが提案した。
実験では、GPS機能やセンサーを内蔵した端末を、市内の65歳以上の約100人が衣服の上から胸にベルトで巻きつける。端末が集めた位置情報や心拍数、転倒などの情報は自動で送信され、家族や介護施設側が異常がないかを確かめられる。
市によると、2017年度の65歳以上の高齢者は11万5千人。15年からの2年間で4千人あまり増え、高齢化率は26・9%。15年の国勢調査では、総世帯に占める高齢者だけの世帯の割合も2割を超えたという。
高齢者の見守りは地域の民生委員らが中心となっているが、近年は自治会の加入率が6割ほどにとどまるなど、地域でのつながりが希薄になっている。さらに、サービス付き高齢者向け住宅などで職員が足りず、転倒などにすぐ対応できないことも多かったという。
端末の開発は香川高等専門学校や民間企業と協力。実用化されれば、市内で転倒が起こりやすい場所や時間帯などの情報を事前に周知することが可能になる。また、例えば一人暮らしで足が悪いある高齢者が「くもりの日の夕方に外出が増える」という傾向がつかめれば、家族が事前に高齢者宅を訪問し、一緒に外出できるようにすることなどが期待されている。
担当者は「これを機に多くの人に見守りに関わってもらい、自宅で安心して過ごせる高齢者ができるだけ増えてほしい」と話している。