京セラ、IoT通信でカバー99% 国内来年度 ソニーも参入

2018年08月28日日経新聞


 京セラは2019年度に、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」に特化した簡易通信サービスを全国に広げる。人口カバー率を現在の76%から99%まで高める。携帯電話会社と価格面で違いを出し、遠隔地からのインフラ保守や高齢者見守りなどのサービス開発を後押しする。IoT通信を巡ってはソニーが18年度にも参入。競争が一段と激しくなる。

 京セラなどが取り組むIoT通信の方式は「LPWA」と呼ばれ、やり取りできるデータ量は10バイト程度と小さいが、一つの基地局から長い距離を飛ばせる特徴がある。通信装置が乾電池で4~5年動き、現在の携帯電話の「4G」などを使ったサービスに比べ利用料金を抑えられる。

 京セラはフランスのシグフォックスから技術供与を受けて17年にIoT通信サービスに参入した。基地局の建設を続けて日本の人口カバー率を高め、山間部や離島、海沿いまで含める。価格は条件によるが年100~600円程度で提供する。

 18年3月時点で100万回線がセンサーやタグに利用され、菓子の自動在庫発注、高級ブランドバッグの防犯、遠隔からの宅配ボックスの空き確認、土砂崩れの防止などの用途で使われている。20年度に1500万回線、売上高は100億円を目指す。

 ソニーが実用化するサービスの通信距離は100キロメートル以上あり、時速100キロメートルで移動するモノでもとらえられる。遭難時の救助隊による位置把握や、海上輸送物の現在地取得での利用を想定する。全地球測位システム(GPS)と組み合わせて高齢者を見守ったり、ドローンに組み込んで到着時間を予想したりするサービスを検討する。

 通信大手ではKDDIが1月に携帯網を使ったIoT通信サービスを一部地域で始め、今夏までに一気にエリアを広げた。携帯の専用周波数帯を活用するためより高い安全性を確保できる。ソフトバンクも4月に携帯網を使ったサービスを開始、10月下旬に駐車場シェアサービスに参入する。