スマホの使用がない、自動音声で「大丈夫ですか?」 アプリで安否確認、家族や役場に連絡 横瀬で実証実験

2018年08月08日埼玉新聞


 横瀬町の官民連携プラットフォーム「よこらぼ」の一環で、町内の高齢者を対象にソフトウエア開発会社のリバティ・イノベーション(本社・さいたま市)が提供する見守りサービスアプリ「みまサポ2」の有用性や課題抽出を目的とした実証実験が、9月から半年間行われる。スマートフォン(スマホ)アプリを活用して、使ってみた感想や要望などを教えてもらって改善につなげ、家族間だけではなく、住民同士の新しい見守り体制の構築を目指す。

 みまサポ2は、対象者が1日1回スマホを持ち上げるなどの動作をすることで安否確認のメールが家族に届く。24時間以上のスマホの使用がない場合には、「大丈夫ですか?」と自動的に音声による安否確認が行われ、その後も30分間スマホが動かされないと、異常を知らせるメールが家族に届き、要安否確認者として地図上にマークが出る。

 ほかの会員もマークをタップすることで「大丈夫ですか?」とメッセージを送信できる。

マークは場所が特定できないように制限され、家族に代わって誰もが見守りに参加することができる。それでも使用がない場合には、家族や町役場にメールで連絡が届き、町役場職員が駆け付ける仕組み。

 同アプリを開発した切っ掛けは、同社の森俊明社長(47)が遭遇した8年前の体験。さいたま市内で別居していた両親が同時に別々の病院へ入院することになり、両親が元気だと思っていた森社長は衝撃を受けた。両親は親心で心配を掛けないようにしていたことを知り、森社長は「高齢化や核家族化、地域コミュニティーが希薄化する中、簡単な新しい見守り体制が必要」と同アプリの開発に着手した。

 2日には、町役場で事前説明会を実施。実証実験の経緯や同アプリの概要などを参加者に説明した。参加者は興味津々の様子で、同アプリが入ったスマホや固定電話タイプのデモ機に触れ、実際に操作を体験。参加した70代女性は、「使いこなせるか分からないけれど、非常に便利だなと思った」などと感想を語った。

 森社長は「完成度はまだまだで、利用した人の生の声を聞きたい。薄くなってきた近所付き合いを再現し、利用者同士でお互いが見守る新しいプラットフォームをつくっていければ」と話していた。