鈴与商事、高齢者見守りサービス参入
2018年06月19日日経新聞
鈴与商事は高齢者の見守りサービスに参入する。IT(情報技術)ベンチャーのSecual(セキュアル、東京・渋谷)と組み、振動を検知するセンサーや異常を通知するスマートフォン(スマホ)向けアプリを販売。防犯対策としての利用法も提案する。鈴与商事は自社のLPガスなどの販路を活用し、一人暮らしの高齢者のほか、高齢者と離れて暮らす家族を中心に売り込む。
利用者宅のトイレのドアや冷蔵庫などに貼り付け型センサーを設置。振動を一定時間検知しない場合、登録したスマホに通知する。
センサーが振動を検知すれば、スマホに異常を知らせる設定も可能。センサーを風呂場や窓などに設け、非常ボタンや防犯対策として利用することもできる。
製品はセンサーのほか、センサーの信号を受信してスマホに通知するゲートウェイ、スマホ向け専用アプリがセットになっている。通信は家庭の無線LANを使うため、配線工事は不要。無線LANの対応がない家庭には専用通信回路を備えた機器を提供する予定だ。
価格はセンサーが1台3500円、ゲートウェイが同5500円。ゲートウェイ1台でセンサー10台に対応できる。専用通信回路を搭載した機器の価格は今後検討する。月額利用料はゲートウェイ1台につき980円。
まず、鈴与商事のLPガスや宅配水の顧客に新サービスを売り込む。LPガスの販売先は都市部から離れた高齢者宅が多く、高齢者とは別に暮らす家族の需要があるとみている。初年度は5000件の契約を目指す。
同社は家庭向けにLPガスや電力、家電製品の販売、住宅リフォームなどを一体的に手がける「くらしサポート」を強化している。2017年秋からはガス販売員らが給湯器や台所、家電などの状態を無料でチェックする「くらしサポート点検」を開始。今後は見守りサービスも含め各家庭のライフスタイルに合わせた提案に一段と力を入れることで、既存顧客の囲い込みや新規顧客の開拓につなげる。