鹿児島県肝付町で高齢者IoT見守り実験 フジクラなど4社、IoTシューズと見守りシステムを共同開発
2018年04月02日新・公民連携最前線
フジクラ、NTTドコモと共同で39Meister事業を運営するハタプロの39Meisterチーム、キャラバン、LiveRidgeは、位置情報を取得する専用IoTシューズと、その位置検知を行う見守りシステムを開発した。鹿児島県肝付町の協力の下、実際の利用シーンを想定した捜索実証実験を2018年3月10日に実施し、その有用性を確認した。
警察庁発表の統計によると、認知症またはその疑いによる行方不明者は4年連続で1万人を超えており、行方不明者の早期発見や安全確保は社会問題となっている。この問題に対して、事業者向けにMVNOサービス「Oxymo(オキシモ)」を提供するフジクラは、外出時に身に着ける「靴」に着目。これまでよりも早期に発見が可能なシステムを構築すべく、パートナー企業と連携して今回のプロジェクトを立ち上げた。
専用IoTシューズは、GPSモジュールを搭載する。トレッキングシューズメーカーのキャラバンが開発した。GPSモジュールを靴の中に実装しながらも軽量で履き心地が良く滑りづらいなど、高い実用性とデザイン性を兼ね備えたという。
見守りシステムの開発は、IoT管理システムや医療介護向けのシステム開発に関するノウハウを有するハタプロとLiveRidgeが担当した。見守りや捜索ケースに特化した機能と、画面遷移の少ないデザインを採用することで、初見のユーザーでも迷わず使える捜索実用性の高いシステムにしたとする。
捜索実証実験は、肝付町で毎年実施する認知症徘徊模擬訓練において、今回開発したIoTシューズを履いた2人の徘徊役が行方不明になったことを想定して実施した。徘徊役が出発した20分後から、5人程度で構成する捜索チームが見守りシステムを利用して探索を開始したところ、約30分で徘徊役の発見に至った。
実験でのIoTシューズの有用性としては、異物感がなく靴の履き心地も普通の靴同等以上という意見があった他、安定して歩行できて長い距離の後も足の異常は見られなかったとしている。一方、見守りシステムの有用性として、徘徊役や捜索者の位置情報が常に画面の地図上で正しく表示されていたため、捜索時間の短縮につながったという。