単身高齢者の転居 手助け  品川区、不動産業者と協定 保証人不要/入居後の安否確認 

2018年02月09日日経新聞

  
 東京都品川区は一人暮らしの高齢者の転居を支援する事業を2018年度に始める。不動産業者と協定を結び、緊急時に駆けつける親族などの保証人がいなくても高齢者が転居できる仕組みをつくる。入居後の安否確認から死後の家財処分、葬儀の手続きまで一括対応するのも特徴だ。自治体が高齢者の生活を包括支援する試みは全国でも珍しいという。

 高齢者の住宅生活支援サービスとして、今夏に事業を始める。運営は品川区社会福祉協議会に委託する。事業費として900万円を18年度予算案に計上している。

 品川区内の70歳以上の単身高齢者は9459人(14年時点)と05年比で1.5倍に増え、今後も増え続ける見通し。配偶者が亡くなり家賃の安い物件を探したり、足腰が弱くなり1階など低い階層の住宅に転居を望んだりする高齢者も多い。保証人がいなくても転居できる受け皿をつくり、住み慣れた地域で安心して生活できるようにする。

 転居支援は年間所得の低い単身高齢者らが対象。協定を結んだ不動産業者を通じて、保証人のあてがない高齢者に賃貸住宅のオーナーを無料で紹介する。物件探しや契約の相談には社協の職員が付き添う。必要に応じて転居経費の補助金の活用も促す。

 賃貸住宅では家賃滞納や病気などによる緊急時の連絡先が見つからない懸念から、保証人のいない高齢者の入居が難しいことが多い。入居後も社協の職員が安否確認や生活相談にあたるほか、倒れた際などに駆けつける体制をつくり、オーナーの不安を払拭する。

 預貯金が少なく家賃の支払いが滞るような場合は、区の生活保護の窓口を紹介する。オーナーには入居者が亡くなったり、行方が分からなくなったりした際、区の家賃保証制度も活用できるようにする。

 成年後見事業を手がける社協のノウハウを生かし、入居者が認知症になっても、預貯金の管理や相続を代行するサービスを有料で用意する。死後の家財処分や葬儀の手続きにも対応する計画だ。

 日本賃貸住宅管理協会が16年度、全国約36万人の賃貸住宅オーナーを対象にした調査によると、61%が高齢者の入居に拒否感があると回答した。一人暮らしの高齢者の入居を制限していると答えたオーナーは14%にのぼった。理由として、家賃の支払いや居室内での死亡事故などへの不安を挙げる声が多い。