センサー+カメラで高齢者見守り イツモスマイル、介護施設に導入
2018年02月07日日経新聞
介護サービスを手掛けるイツモスマイル(徳島市)は、高齢者の健康状態をセンサーとウェブカメラで二重に見守るシステムを開発した。ベッドのセンサーで呼吸数や心拍数を監視し、異常があればカメラの映像や通話で確認する。容体急変を確認したら、すぐ職員らに知らせることができる。自社の施設に導入しており、今後は外部施設や個人宅に販売する。
開発したシステムは「いつもつながる」。約4000万円を投じて、2017年6月から順次、徳島県内の自社の複数施設に導入した。
寝たきりの高齢者がいるベッドに敷いたセンサーマットで転落の有無や呼吸数、心拍数を監視する。異常を検知した場合、インターネットを通じてリアルタイムで撮影するウェブカメラが付いたナースコール(職員と連絡する装置)が作動し、高齢者の様子を映像と通話で確認する。
職員らはパソコンやスマートフォンで本当に容体が急変したのかを確認し、必要があれば駆けつける。複数の高齢者の状態を画面にまとめて表示して把握することも可能だ。異常があった場合には家族、かかりつけ医など関係者にメールで連絡をすることもできる。
通常は職員が巡回して高齢者の状態を把握しているが、巡回の合間に容体が急変するケースがあるほか、自力でナースコールを押せない高齢者も多い。開発したシステムの導入によって入居者や家族がより安心できるようにするとともに、職員の負担を軽減する効果も期待できる。
要介護度の高い高齢者を多く受け入れられるようになれば、施設の経営にもプラスとなる。同社の試算によると、30床の施設にシステムを導入した場合で年間1200万円の増収が見込めるという。自社の施設で安定的に運用できることを確認し、近く外部施設にも販売を始める計画だ。
人生の最期を自宅などで迎えたいという高齢者が増えるとみて、個人宅向けの開発も進める。施設と同様にセンサーマットとウェブカメラを設置し、異常を検知した際に地域の医療関係者やボランティア、遠隔地の家族に通知する。自宅の玄関に電子制御のスマートキーを設置すれば、カギを預かっていない人でも駆けつけて対応できる。
個人向けサービスは機器をレンタルする方式が適しているとみており、料金は月額2万円弱からを想定する。徳島は県内全域に高速インターネット回線が張り巡らされ、過疎地でも利用できることから、活用を進めやすいとみている。
同社は徳島県内を中心に居宅介護支援やサービス付き高齢者向け住宅の運営や、介護施設向けの業務改善コンサルティングなどを手掛ける。2018年3月期の売上高は12億円前後の見通しだ。