高齢者の孤独死防止へサービス開始 電話1回コール、タクシー駆けつけ 盛岡の情報通信業「デカルト」 /岩手

2018年02月01日毎日新聞

 
 脳卒中や心筋梗塞(こうそく)などの発作が起きた際に、電話を1回鳴らせばタクシーが自宅に駆けつけるサービスを、盛岡市の情報通信業「デカルト」=藤原隆司社長(57)=が始めた。「ワンコール・タクシー」で「ワンタク」と名付けた、タクシー会社と共に1人暮らしの高齢者を支援するサービスだ。会員登録した人には24時間いつでも対応する。増える高齢者の孤独死防止に役立つか、注目される。

 ワンタクは、配車システムを利用し、近くのタクシーが会員の家まで駆けつける。昨年11月1日から、平和・とりょうタクシー(盛岡市、国枝康彦社長)と提携してサービスを開始。今後は他のタクシー会社にも広げていきたい考えだ。離れて住む家族の代わりに災害時などの安否確認をしたり、外出できない高齢者に代わって買い物や薬の受け取りをしたりするオプションも設けている。

 サービスを始めるきっかけは5年ほど前、東京に住んでいた親類の孤独死だった。体調が悪くても救急車を呼ぶのを我慢する高齢者がいるという話も耳にして、「高齢者が気軽に助けを呼べるシステムが作れないか」と考案した。近所の目を気にして救急車を呼びたくない高齢者の受け皿になる▽救急車の受け入れ先は選択できないが、タクシーなら、かかりつけの病院に直接行ける--などのメリットがある。

 離れた家族の代わりに安否確認する「見守り確認代行サービス」は、平和・とりょうタクシーの提案だ。東日本大震災の直後、「遠くの親類の様子を見てきてくれないか」という問い合わせが多かったことから取り入れたという。

 今月14日からは、音声コミュニケーションロボットを導入する予定で、認知症の進行やうつ病の予防に役立てたいという。離れて暮らす親族にロボットが利用者の様子を伝えることで、見守りや安否確認の役割も果たせると期待している。

 藤原社長は「岩手は脳卒中死亡率が全国上位。高齢者はもちろん、高血圧などの持病がある50~60代にも暮らしの安心材料として使ってほしい」と利用を呼びかけている。
 サービスの利用には初回登録料2500円と年会費6000円が必要。タクシー運賃も別途請求するが、会員には毎月520円分のタクシーチケットを配布する。問い合わせはデカルト(0120・983・088)。