高齢者「見守り」タブレット端末で 65歳以上に配布 TV電話やメールで状況把握 健康管理に利用も /長野

2018年02月01日毎日新聞

 
 天竜村は1月、65歳以上の高齢者を対象に、タブレット端末の配布を開始した。村住民課によると村の人口1355人(1月1日現在)のうち、65歳以上が6割近くの811人と高齢化が進んでおり、その「見守り」への活用を狙う。

 これまで高齢者の安否確認は地域の民生委員など「人力」に頼っていた。村はタブレットを利用し、週1回程度、テレビ電話やメールで連絡を取って高齢者の状況を把握するとともに、端末を所有する高齢者もアプリケーションを使って血圧を入力するなどで健康管理に利用することもできる。

 天竜村は2014年、「くらし安心ICTネットワーク事業」検討委員会を発足。NTTドコモが15年に提供開始した高齢者向けサービス「おらのタブレット」を活用し、村民約20人にタブレットを無償配布して実証実験を重ねてきた。

 その結果、タブレット利用で村や社会福祉協議会などが住民の情報を共有できるなどと判断した。村住民課の森祐二係長は「タブレットの利用で村だけでなく、遠距離にいる家族からのテレビ電話やメールで安否確認が可能な上、健康管理、災害情報の受信や緊急通報もできる」と話す。

 利用者の自己負担は1000円に設定され、それを上回る分は村が負担する。1月18、19日に利用を希望する高齢者約50人、30日に約40人にタブレットの配布を行い、村の担当者とNTTドコモが利用法の説明を行った。

 森係長は「利用者から使用方法がわからないとの問い合わせもあり、タブレット端末の使用に抵抗のある高齢者も多く、普及には時間がかかる」と語る。タブレット端末に初めて触ったという天竜村神原の村松俊さん(89)は「まず触れることから慣れなきゃ。飯田市にいる家族の写真をタブレットで早く撮りたい」。高齢者の「タブレット慣れ」がこの取り組みの成功のカギになりそうだ。