電機各社、IoT(モノのインターネット)に注力 世界市場2030年に約2倍の404兆円へ

2017年12月24日SankeiBiz


 電機各社が、あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」関連事業を成長のエンジンに据え、取り組みを強めている。電子情報技術産業協会(JEITA)によると、IoTの世界市場規模は2030年には16年の約2倍の404兆円に達する見通し。少子高齢化を受け、介護や医療への導入が加速しそうだ。

 日立製作所はIoTを成長の牽引(けんいん)役に据える。顧客企業から生産や物流のデータを集め、人工知能(AI)の解析を加えて業務の効率化を指南する事業を展開。関連事業の売り上げ規模は17年3月期の9000億円から19年3月期には1兆500億円に伸ばす計画だ。日立のIoT基盤を活用してトヨタ自動車は工場の生産性を効率化する協業を開始。東原敏昭社長は「顧客の技術革新のパートナーになることが日立の方向性だ」と語る。

 分野別では介護・医療分野へのIoTの導入拡大が見込まれ、30年の世界市場規模は22.3兆円になる見通しだ。IoTとセンサー機器などを組み合わせた高齢者見守りサービスや、介護ロボットなどの活用が広まるとみられる。

 パナソニックは室内のエアコンの稼働状況と人感センサーでとらえた室内の人の動きをネット経由で管理して見守る「エアコンみまもりサービス」の拡販に注力。富士通も同様のサービスを開発している。

 政府は第4次産業革命によって実現する社会を「ソサエティー5.0」と位置付けて推進に注力。先端技術のIoTがAIと並んで重要な役割を果たす。JEITAは各種機器のIoT化率が30年には86%に達すると予測。国内の市場規模も11.1兆円(16年)から19.7兆円(30年)に膨れあがるとした。

 一方、JEITAは会員136社へのアンケート結果から、17年の電子情報産業の世界生産額は前年比6%増の2兆7401億ドルに達し、過去最高を更新する見込みだと発表した。半導体やディスプレー機器が牽引役となっており、18年も前年比4%増の2兆8366億ドルになる見通しでプラス成長が見込まれる。