しゃべる電話機、防げ「おれおれ詐欺」

2017年09月19日日経新聞

 
 シャープはシニアにターゲットを絞った固定電話機を5月に発売した。最近の電話機に多く採用されている振り込め詐欺対策に加えて、見守りや緊急時に家族を連絡する機能も搭載する。それぞれの機能も起動させるための設定は不要で、見守り機能を使う場合も特別な契約や工事は必要ない。手間を減らして利用するためのハードルを下げ、シニアやその家族に売り込む。

 シャープが発売した電話機は事前に設定した時間に毎日、呼び出し音が鳴る。高齢者らが受話器を取って自動音声を聞かないと、自動で家族に通知する。付属の緊急呼出ボタンを押した場合にも家族に自動で電話が掛かり、安否確認を促す。

 電話回線を使うため、ネットを利用するサービスのように通信機器の設置工事や月額の使用料、特別な申し込みなどが必要ない。開発に携わったIoT通信事業本部の半谷知久課長は「見守りサービスは必要と考えていても手間やお金をかけることにためらう消費者は多い」と説明する。

 シャープがシニアをターゲットに据えたのは固定電話の購入者の約7割が60歳以上のためだ。国内の固定電話機の需要の大半は買い替えが占めている。「故障も少ないため便利な機能をつけて購買動機をつくりたかった」(半谷氏)

 最近は迷惑電話を防止する機能を搭載した電話機が多く登場しているが、詐欺防止を大きく打ち出したのはシャープが2015年に発売した製品が初めてだったという。開発にあたっては警察の協力も得て、詐欺捜査担当者に聞き取りを進めた。

 そこで多く出た指摘が「事前設定などが必要だとシニアは使わない」ということだった。便利な機能も宝の持ち腐れになるというわけだ。そこで何もしなくても自動的に詐欺対策機能が発動するようにした。

 詐欺対策の具体的な機能はこうだ。事前に登録されていない電話番号から電話がかかってきた場合は赤のランプが点灯。偶数月の13~17日には電話に出る前に「年金支給日を狙った詐欺に気をつけてくださいね」と音声で注意喚起する。1時間以内に同じ番号からの着信が3回以上続くと「同じ番号からの電話が集中しています。気をつけてくださいね」と呼びかける。

 さらに、登録されていない番号の電話には、かけてきた相手に自動的に名前を名乗るように促し、電話の会話内容を録音すると伝える。「詐欺師は一日数百件電話しており防犯意識が高いと分かると深追いはしない」(半谷氏)。高齢者らが受話器をとれば自動で録音が始まる。

 それでも詐欺師からの電話に応対してしまった場合にも対策がある。電話を切ったあとに「あやしい電話を受けた時には知り合いの方に相談してください」と助言するのだ。

 シャープが販売する固定電話機のうち詐欺対策付きモデルは4割ほどを占めており、年々比率は高まる。新モデルも1カ月に5000台の生産を見込んでいる。ただ、「詐欺は自分には関係ない」と考えている高齢者も依然として多いという。半谷氏は自治体や警察署が開くイベントに積極的に登壇。シニアに注意を喚起し、製品を紹介する活動を展開している。