電気・水道で高齢者見守り スマホに使用状況お知らせ 坂城町など 郵便局とも連携

2017年08月30日日経新聞

 
 電気や水道などインフラの使用状況を通じて高齢者の安否を確認するサービスが県内で広がっている。電力小売りの「富士見森のエネルギー」(富士見町)が遠隔地からスマートフォン(スマホ)のアプリで確認できるサービスを来秋をメドに始める。坂城町では水道の利用状況を送信する。一人暮らしの高齢者が増える中、きめ細かく状況を確認したい家族らの需要に応える。

 富士見森のエネルギーは使用状況を離れた場所に住む家族が確認できるサービスを2018年秋から始める。10月から富士見町で20世帯を対象にモニター調査を始める。

 東芝の照明部門である東芝ライテックと協力し、家電などの電気使用量を管理する家庭用エネルギー管理システム(HEMS)を活用する。スマホの専用アプリで電気の使用量を30分ごとにグラフで表示し、遠隔地から確認できる。

 エアコンや給湯機など専用の無線通信装置「ホームゲートウェイ」と接続できる家電についても個別の使用状況を確認できる。例えば「いつもエアコンを使っているのに使用せず、連絡もとれない場合は異変を察知できる」(富士見森のエネルギーの担当者)という。

 県と坂城町は9月、水道の利用状況から異変を察知できるサービスを開始する。東洋計器(松本市)が開発した水道メーターを活用し、1日で初めて水道を使用した時にメーターが作動して家族にメールを送る。2時間以上水道を使い続けている、または8時間以上使用がなかった時にもメールを送る。時間は設定で変更できる。

 最大10件まで送信でき、家族だけでなく民生委員や自治会長といった地域の関係者に送信することもできる。同町と県は水道メーターや通信機器の設置費用を負担して利用を促す。

 日常的に使用するインフラでは、郵便配達を通じた安否確認も1つの手段になる。県内の自治体は相次ぎ郵便局と高齢者の見守りに関する協定を結んでおり、今年3月末時点で40市町村が協定を締結した。その後も上田市や塩尻市などが締結している。

 一人暮らしの高齢者宅で郵便物が長期間にわたり受け取られていない場合に、郵便配達員が安否を確認したり自治体に通報したりする。

 国勢調査では県内の65歳以上の高齢者の割合は15年10月1日時点で初めて3割を超えた。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、県内の高齢者世帯のうち、一人暮らしの割合は35年に3割を超える見通し。見守りサービスの市場も広がりそうだ。