パナソニック、高齢者の体調予測 IoTで睡眠分析

2017年08月28日日経新聞

 
 パナソニックはあらゆるモノがネットにつながる「IoT」を活用し、一人暮らしの高齢者を見守るサービスに乗り出す。室内の複数のセンサーの情報から温度変化や睡眠のパターンなどを解析。体調不良の兆候を介護スタッフに知らせる。9月から大阪府や愛知県で試験的に開始し、2019年度の事業化を目指す。施設向けの見守りサービスと合わせて25年度に100億円規模の事業に育てる。

 一人暮らしの高齢者の家に、人の動作と呼吸の様子を電波で捉える小型センサーや人感センサーなどを設置する。エアコンの温度センサーと組み合わせ、室内の環境や本人の寝起きのパターンなどを調べる。室温の急上昇や睡眠の乱れなど、体調不良につながる変化があれば地域を巡回する介護スタッフに連絡して優先的に見回るようにする。

 従来の見守りサービスでは転倒や長時間の電気の不使用など、異常を知らせるものが多かった。パナソニックは人工知能(AI)技術の一種である機械学習で過去の本人の体調と睡眠パターンの関係を分析し、体調変化を事前に推測する。

 9月から大阪府箕面市、大阪府交野市、愛知県豊田市の3市約10世帯で試験サービスの運用を始め、他の自治体にも拡大する。19年度内に自治体や自治体が業務を委託する介護事業者向けにサービスを実用化する。アジアなど海外にも展開する計画だ。

 内閣府によれば要介護認定を受けた全国の高齢者のうち、約7割は自宅で介護サービスを受けている。厚生労働省は25年までに全国の各自治体に地域で高齢者の暮らしを支援する仕組みを整備するよう呼びかけている。パナソニックのサービスでは効率的に巡回できるため事業者の負担軽減にもつながる。