パナソニック、「高齢者見守りシステム」−本社直轄で育成

2017年08月07日日刊工業新聞

 
 パナソニックはエアコンと人感センサーを使った高齢者見守りシステムを、家電部門から移管し本社直轄の事業として育成する。家庭用エアコンの差別化技術として開発したが、介護施設入居者の健康管理といったサービス事業にも展開が見込めるため、独立した事業とすることを決めた。本社技術部門内に新設した新事業創出組織が担当し、既存事業の枠組みにとらわれない新事業として育てる。5―10年後をめどに、数百億円規模の事業に伸ばす。

 パナソニックが力を入れる同システムは、家庭用エアコンに内蔵された温・湿度センサーと外付けの人感センサーを組み合わせて、室内の高齢者の活動状況や睡眠状態などを遠隔監視できる。熱中症の危険を察知して室温を調整したり、高頻度の目覚めを検知して警報を鳴らしたりできる。

 介護施設の夜間見回りが入居者の睡眠を妨げる場合があり、同システムを導入することで見回り回数を減らせる。このほか、入居者の行動データを分析して健康管理に生かすなど、施設サービスの質も向上できる。すでに自社のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や、他社の介護施設に導入して一部サービス提供を始めている。

 パナソニックは4月、本社技術部門内に「ビジネスイノベーション本部」を新設。人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)技術を使い、既存の事業モデルを「破壊しかねない新事業」(パナソニック)を創出する役割を課した。新事業候補に2件を選定していたが詳細は明かしていなかった。高齢者見守りシステムをこの新事業の一つに選び、家電部門から移管した。