自販機に基地局 電波で子や高齢者見守り
2017年07月16日毎日新聞
町の自動販売機や電柱が、子どもや高齢者の安全を見守ります--。IoT(モノのインターネット)技術を活用した見守りサービスの実証実験が、東京都渋谷区で始まった。中心となる東京電力ホールディングスの杉浦賀彦・tepcotta(テプコッタ)事業本部長は「一つの小学校区から始めて、来年1月に区内全域へ拡大。さらに他の地域でも導入してもらえる事業に育てたい」と話している。
区内にある自販機や公共施設、「子ども110番の家」に協力を依頼し、小型基地局を設置。ビーコン(電波受発信器)を搭載したキーホルダー形の専用端末を身につけた子どもやお年寄りがその前を通過すると、家族が位置情報をメールで確認できたり、通過情報の履歴をスマートフォンやパソコンで把握できたりする仕組み。基地局は直径約10センチの円盤状で、電源コンセントに差し込んで設置する。
区全域をカバーするには推定約500の基地局が必要で、自販機内部や公共施設、コンビニのコンセントを利用。設置が難しいエリアでは東電の電柱を使う。また、基地局機能を持たせた無料アプリを地域住民のスマホやタクシーのタブレット端末に配布、「移動基地局」として活用する。
杉浦さんは「GPS(全地球測位システム)端末を使った見守りサービスに比べてコストが安い。専用端末は電池寿命が長く、充電を気にする必要がない」と説明。実験段階は無料だが、「有料でも利用してもらえる付加価値を考えたい」と、月額500~1500円程度で有料化を検討している。