長岡京市、「Bluetooth活用の見守り」の実験結果を公表

2017年04月27日新・公民連携最前線

 
 京都府長岡京市は4月4日、Bluetooth機能を活用した見守り制度についての報告書を公表した。

 同市は2014年7月から、認知症高齢者と行方不明者対策として「おでかけあんしん見守り事業」をスタート。連絡先と顔写真の事前登録制度や徘徊模擬訓練などを進めてきた。

 2016年2月にBluetooth受発信機器を導入した。Bluetooth機能を活用した見守りは、高齢者見守りサービスを提供する阪神電気鉄道、ワイファイスポットを利用した見守りプラットホームの実証実験を実施するソフトバンク、およびリアライズ・モバイル・コミュニケーションズと連携して実施している。

 Bluetooth受発信機器の導入は、行方不明者を早急に保護するのが目的。対象者は「かえるお守り」と呼ばれる発信器(Bluetoothタグ)を携帯。市は主要道路沿いのほか、地元商店や事業所の協力を得て市内各所に受信器を設置し、受発信器間の無線通信記録をもとに安否を確認するシステムだ。個人でもスマートフォンに専用アプリをインストールすれば受信器として利用できる。

 また、市と向日町警察署、乙訓消防本部が通信情報を共有することでより迅速な捜索が可能になった。

 「かえるお守り」は2.5cm×3cmで2年間電池交換が不要だ。サイズが小さくGPS端末と比べて持ち運びやすい。市では希望者に2年間無料で配布し、継続利用には月360円で提供する。

 報告書によると、2月28日時点での「かえるお守り」保有者は96人、スマートフォンアプリのインストール者は638人。2016年度(17年2月28日時点)市に報告された行方不明件数は19件。そのうち、「かえるお守り」を保有していたのは13件、行方不明時に実際に所持していたのは4件だった。所持していた行方不明者は最短50分で発見できたという。

近隣自治体との連携も視野に

 長岡京市では今後、「かえるお守り」の機能強化などを検討する。

 Bluetooth機能を活用した見守りシステムには、Bluetoothタグの電波が感知できなくなったときにアプリを入れた家族のスマホに通知する機能や、固定受信器などで感知・蓄積された情報を閲覧できる機能がある。

 また、管理者として登録したスマートフォンを玄関先などに設置すれば、「かえるお守り」を持っている人が外出したことがすぐに分かる。今は市のみで情報を管理しているが、この機能を活用するため、希望する家族に管理者資格を付与するよう検討する。

 見守りの広域連携も構想している。「公共交通機関を使って長岡京市から出ていったまま、行方が分からなくなる方も多い。他市と共同での模擬訓練や京都府内にある駅へ受信器を設置することも視野に入れたい」(同市健康福祉部高齢介護課高齢福祉係)という。