ふるさと納税謝礼品でヤクルトと安心お届け…小山市

2017年04月26日読売新聞

 
 ふるさと納税で、実家の家族の見守りを――。小山市が、ふるさと納税の謝礼品メニューに「ヤクルトの商品配達」を加える。遠方に住んでいても、寄付すれば、同市内に住む高齢の家族の安否確認をヤクルトの配達員に代行してもらえる。25日、同市役所で、両毛ヤクルト販売(本社・足利市)と覚書の締結式が行われた。同社によると、ヤクルト商品の配達がふるさと納税の謝礼品になるのは全国初という。

 小山市によると、4月1日現在、市内の65歳以上の一人暮らしは7773人、夫婦、兄弟など65歳以上の高齢者だけで暮らす人は6408世帯1万3303人。謝礼品にヤクルト商品配達を選べるのは、こうした人たちの家族が対象となる。

 安否確認の期間、回数は寄付額で異なり、10万5000円の寄付では、週1回、7日分の乳酸菌飲料を1年間配達し、手渡しで安否を確認する。配達員が異変などに気づいた場合、同市地域包括ケア推進課などに連絡、寄付者には緊急メールが配信される。ほかに5万3000円、2万7000円のコースがあり、それぞれ期間や回数が半年間、2週間に1回の配達などとなる。

 ヤクルトは各地の自治体の委託で、高齢者などの見守りを兼ねた乳酸菌飲料の配達を行っており、孤立死を防いだり、病気で倒れている人やガス漏れに気づいたりした例もあるという。

 県内でも足利市や佐野市が委託しているが、小山市は、ふるさと納税の謝礼品にすることで、高齢の家族と離れて暮らす人に故郷のことを考えてもらおうと考えたという。

 締結式で大久保寿夫市長は「高齢になっても安心して暮らしてもらえるよう、見守り強化につなげたい」とあいさつした。同市では市社会福祉協議会と自治会が高齢者の見守り活動を行っているが、大久保市長は「遠くにいる家族も力になってほしい。生まれ育った故郷に貢献するふるさと納税の趣旨にも合う」と話す。

 ふるさと納税を利用した見守り活動は、兵庫県芦屋市が昨年度から、市シルバー人材センターの「傾聴&見守りサービス」を謝礼品に加えた例がある。研修を受けたスタッフが高齢者宅や施設を訪問、話し相手になるものだが、同市地域経済振興課によると、ふるさと納税の謝礼品としての利用は今のところないという。