ホームセキュリティー契約急増…増える共働き、高齢者見守りサービスも

2017年04月12日産経新聞

 
 空き巣狙いなどの侵入者に備えるホームセキュリティーのサービスが多様化してきた。高齢者の在宅状況を把握できる見守り機能をつけたものや、防犯センサーの数を減らして価格を抑えたものもあり、利用者の裾野を広げている。家を留守にしがちな共働き世帯や高齢者世帯は今後も増えるとみられ、普及を後押ししそうだ。(大島直之)

5年で1.5倍

 「新生活が始まる春は契約数が伸びる。最近は新築住宅向けだけでなく、後付けも多い」。警備会社、ALSOKの関西営業部担当次長の鍵元智之氏は、ホームセキュリティーのニーズの高まりをこう話す。

 同社の基本的な商品にあたる「ホームセキュリティBasic(ベーシック)」は、ドアや窓の開閉、室内、施錠などをセンサーが監視し、異常を感知すると、警備員が25分以内に駆けつけるサービス。盗難のほか、侵入者と居住者が家で鉢合わせになり、けがを負わされるようなリスクを減らす。

 4LDKの戸建て住宅で、月額は6870円(税別、機器レンタルの場合)と料金は安くはないが、安全・安心を求める家庭からの引き合いは多い。

 シンクタンクの富士経済によると、ホームセキュリティーの契約件数は、平成29年には約220万件にのぼり、24年の1.5倍になると見込んでいる。

 料金を抑えて、新規契約を伸ばしてきた会社もある。

 関西電力と東洋テックが共同出資して平成13年に設立した「関電セキュリティ・オブ・ソサイエティ(関電SOS)」は、事業開始以来、月額5400円(税別、機器レンタルの場合)でサービスを提供。機器買い取りの場合は2900円(税別)に料金が下がる。参入当時は月額1万円程度が相場だったホームセキュリティーに価格破壊を起こしたことで知られる。

 設備は、窓や玄関にはセンサーを取り付けず、感熱式の空間センサー2個と通報用の非常ボタン1個で構成。シンプルにしたのが特徴で、関電SOS営業部長の竹岡康樹氏は「必要最低限の機能に絞り込み、手が届きやすい料金にした」と話す。

健康も守る 

 ホームセキュリティーは、防犯以外の用途にも使われるようになった。

 急速にニーズが高まっているのが、高齢者の見守りサービスだ。

 ALSOKの「みまもりサポート」(月額2400円、税別)は、ホームセキュリティーを契約していなくても、単独でサービスを受けられる。体調が悪くなった際に居住者が、通報装置を使って警備員を呼ぶ仕組み。夫婦2人や1人暮らしの高齢者の利用が多い。室内の壁に取り付けた操作盤のボタンを押せば、ALSOK側と通話でき、24時間対応で医療機関の紹介も受けられる。

 警備業最大手のセコムは、リストバンド型のセンサーを高齢者につけてもらって、生活状態を見守る「セコム・マイドクターウォッチ」を今年夏に導入する。急病のときに、リストバンドの通報ボタンを押すと、セコムから自宅に警備員が派遣される。必要に応じて、セコムが救急車を手配する。意識を突然失って、転倒したときの衝撃をセンサーが感知すれば、ボタンを押さなくても自動でセコムに通報される機能も付ける。

 将来的には、血圧や脈拍、体温などのデータをとって、疾病の予兆を検知するサービスにまで広げたい考えだ。

 あらゆるモノがインターネットでつながるIoT技術の進歩に伴って、ホームセキュリティーのサービスは一段と多様になっていく可能性がある。