電力データで高齢者見守り パナソニックが那覇で実験
2017年02月16日琉球新報
パナソニックエコソリューションズ社(東京都)は15日、電力の使用状況を計測し利用者に知らせる「スマートHEMS(ヘムス)」の機能を生かした高齢者見守りサービスの実証実験を、那覇市内の団地で実施すると発表した。2月から10月まで市営真地団地と市営小禄団地で実施。実験結果から改善点や課題を精査し、早ければ2018年度の実用化を目指す。
HEMSは「ホーム・エネルギー・マネジメント・システム」の略で、家庭で使うエネルギーを節約するための管理システム。回路ごとに電力の使用状況を計測する分電盤と、使用情報を表示しクラウドサービスにつなげる機器を活用し、遠隔にいても電力の使用状況などが把握できる。
この機能を活用した見守りサービスでは、高齢者宅で電気を付けたり家電を使用したりして発生した電力データを高齢者の活動量に変換し、近所で見守り活動をしている人や離れて暮らす家族に活動の有無や傾向を知らせる。事業の実証実験は全国でも初めて。
真地団地自治会では、百円で買える食料品などを販売する「百金食堂」を6年前から始めるなど、高齢者の孤立を防ぐ取り組みを始めている。全国的にも先進的な活動として、実証実験の対象になった。真地団地自治会の眞榮城(まえき)嘉政会長は「訪ねていく見守りでは間に合わない部分がある。安心安全なまちづくりに生かしていけたらいい」と期待する。
実験は真地団地の13世帯、小禄団地の4世帯で実施する。65~90歳の1人暮らしの高齢者宅に機器を設置し、団地自治会の見守り隊のスマートフォンに朝と夜の2回、使用状況のグラフが送られる。
同社エナジーシステム事業部事業開発課の松崎章課長は「実証実験で利用者の声を聞きながら、“電力の見える化”を高齢者の見守りにつなげていきたい」と意気込んだ。
同社では那覇市近隣の住む親子10組を対象にした同事業の実証実験も実施する。18、19日にTSUTAYA那覇新都心店で説明会を開催する。