電気、歩数…広がる「見守りサービス」 親とコミュニケーションをとって導入を

2017年02月10日zakzak

 
 30代や40代の人たちの親世代は60代後半から70代だ。そんな30-40代の子世代のほとんどは、「離れて暮らす親のことが心配」、「親の老後をどうするか」などの悩みを抱えている。

 “親のこと”に関して、最も身近な心配事は、振り込め詐欺などの特殊詐欺の被害に遭わないか、ということだろう。弊社が発行している「オヤノコト・マガジン」の読者からも最近、「離れて暮らしている親が、自分の知らぬ間に実家の外壁工事に100万円近い申し込みをしてしまい、あわてて解約手続きをとった」という話を聞いた。

 その後も同様の営業電話が立て続けにかかってきたので、注意をするよう親に伝えたという。ちなみに昨年の振り込め詐欺の認知件数は前年比約7%増加、被害額は約373・8億円という(警視庁調べ)。被害者の大半は70-80代で、女性の被害が多いというから、母親が一人暮らしだと特に心配だ。

 また、自宅での事故も心配のタネ。高齢者の場合、トイレや浴室での事故が多いように思うが、意外にリビングでの転倒などによるものが多い。65歳以上になると発生率も45%に跳ね上がり、骨折などの大けがに至る場合もある。

 そんな親世代の生活を見守る手段のひとつに、「安否確認」や「見守りサービス」がある。例えば、ポットのお湯を使った時間や量を子供の携帯などに送信する象印マホービンの電気ポット「i-PoT」は有名だ。セントラル警備保障やセコムなども、緊急時に駆けつけるサービスを展開している。パナソニックのシニア向け携帯電話には歩数計機能が付いていて、「今日は何歩あるいた?」などと親と情報を共有できる。

 さまざまなサービスが登場しているなかで、筆者が気になったのは関西電力の「はぴeまもるくん」だ。

 電力自由化で、多くの電力会社が同様のサービスに参入しているが、関西電力では首都圏でも電気を販売することと連動して、関西圏に親が暮らす子供に見守りサービスを展開している。親の電気使用状況から日々の生活リズムの異変を通知してくれるというものだ。たとえば、冷蔵庫の開閉履歴による見守りサービスなどがあり、これは新しい機器を導入する必要もないので、気軽に始められる。

 いろいろなサービスがあるなか、親の生活パターンを考えながら最適な見守りサービスを早めに取り入れることも大事な「備え」だ。ただし、くれぐれも子供が勝手に決めるのではなく、きちんと親とコミュニケーションをとって導入することが大切だ。