不動産管理のC―NET、賃貸住宅で高齢入居者を見守り

2017年02月08日日経新聞

 
 不動産管理業のCーNET(千葉県船橋市)は、今秋から単身の高齢者の見守りサービスが付いた賃貸事業を始める。玄関の天井にセンサーを取り付け、ドアの開閉で安否を確認する。安否確認ができるようにして物件オーナーに単身高齢者への賃貸を促す。単身高齢者の入居を増やし、2022年3月期の売上高で約1億7000万円の上積みを見込んでいる。

 同社は1600万円を投じて、県内のシステム会社と組んでセンサーを開発した。入居者が扉を開けるとセンサーが反応し自動的にC―NETのネットワークに情報が送信される仕組みだ。まず同社が管理する2000室のうち100室で導入し、5年後には管理物件の7割で対応させる考えだ。

 48時間扉の開閉履歴がない場合も同社のネットワークに通知される。同社の担当者が入居者に電話を掛け、つながらない場合は戸別訪問する。緊急事態の際には親族に知らせる。高齢の親と離れて暮らす子どもにとっては親の安否が分かるので、「ここに住ませたい」という需要を掘り起こす。

 同社によると警備会社などが手掛けるサービスは何か起きてから駆け付けることになっているが、不動産会社が入居者の見守りを手掛けるのは珍しい取り組みだという。

 2015年の国勢調査によると15年の千葉県内の高齢者の数は158万4419人で、うち単身高齢者が16.3%を占めた。10年の調査では14.5%となっており、単身高齢者の比率が高まっている。高齢化や核家族化により単身高齢者は増える傾向にある。単身高齢者は病気などの恐れから賃貸住宅の入居を断られるケースも多いという。

 同社が物件所有者にかわって入居者の安否を確認することで、所有者の理解を得やすくする。さらに単身高齢者に対応した物件を増やすことで、単身高齢者の住居確保を支援し売上高増につなげていく。同社は2005年設立。不動産管理や仲介を手掛け、16年3月期の売上高は3億3000万円。